【倉敷を見守る鎮守】歴史を紡ぐ「阿智神社」の新たな取り組みを聞きに行く!

JR倉敷駅から徒歩15分の人気観光地・倉敷美観地区にある阿智神社。地域の守り神としても長く親しまれており、最近は地域と連携したさまざまな活動も行っています。そこで今回は宮司の新井俊亮さんにお聞きした阿智神社の新しい取り組みについてご紹介します。

阿智神社の御本殿のイメージ写真
阿智神社の南参道の入口の写真
阿智神社の看板の写真
阿智神社 宮司の新井俊亮さんの写真
阿智神社 宮司の新井俊亮さん

阿智神社の歴史

阿智神社は元禄6年に創建。本殿は寛延3年に建立されましたが、約270年前に建て替えられています。倉敷の総鎮守として宗像三女神を祀り、交通安全・海上安全・美容健康・芸能上達・商売繁盛の神徳があるとされています。

「阿智(阿知)」という名前はかつて神社の周辺が「阿知潟」と呼ばれる海だったことに由来します。江戸時代には神仏混淆によって「妙見宮」という名前でしたが、神仏分離令により明治2年に「阿智神社」となりました。

 

※天照大御神と素戔嗚尊の誓約によって生まれた3柱の女神

多紀理毘売命(たぎりひめのみこと)

多岐都比売命(たぎつひめのみこと)

市寸嶋比売命(いちきしまひめのみこと)

境内を散策

「うさぎの神社」として話題

階段を上ると見えてくるのが随身門です。門を見上げると、かわいらしいうさぎの彫刻があるのに気付きます。2023年の干支がうさぎであることもあり、最近は“うさぎの神社”としても話題を集めているそうです。

阿智神社の南参道の写真
阿智神社随身門のうさぎの飾りの写真 その1
阿智神社随身門のうさぎの飾りの写真 その2

新井さん

うさぎそのものが阿智神社に関係しているかは不明ですが、火除けのシンボルとされている説や神社の所在地の「東町」であることと東の方角を表す干支のうさぎを掛けたという説など、諸説あるようです。

なお、随身門のうさぎは入口側と出口側で表情が異なります。入口側のうさぎのほうが少しだけやわらかい表情をしているように見えますので、訪れた際は見比べてみてくださいね。

知られざる絵馬殿の歴史

絵馬殿外観の写真 その1

拝殿の横にある絵馬殿。鳥取県の投入堂と同じ懸造(かけづくり)で展望台としても楽しめます。

新井さん

この絵馬殿は昭和29年に倉敷を襲った台風12号によって一度消失したことがあります。地元の方にも立て直された歴史はあまり知られていないかもしれません。

エコな建築技術が使われている本殿

御神体が祀られる本殿は拝殿の奥にあります。

伝統的な入母屋造(いりもやづくり)で、流れるような形状をした美しい屋根はヒノキの皮を幾重にも重ねた檜皮葺(ひわだぶき)。代々大切に守られてきました。

絵馬殿外観の写真 その2
本殿の屋根の写真 その1
本殿の屋根の写真 その2

新井さん

屋根に使われるヒノキの皮は原皮師(もとかわし)によって採取されます。一定の年月が経てば樹皮は再生するので、木を伐採しないエコロジーな建築技術でもあります。社務所にも檜皮葺のモデルを展示していますので、お立ち寄りの際にご覧ください。

オリジナルの授与品に注目!カラフルなおみくじや愛らしいお守り

社務所では、おみくじやお守りを受けることができます。阿智神社にしかないオリジナルのおみくじやお守りもあるので要チェックです。

そのほかに人気があるのは、うさぎをあしらった御朱印帳。阿智神社のマスコット的存在となっている随身門のうさぎと、樹齢500年といわれる曙藤の古木「阿知の藤」がデザインされています。2023年から紫色とピンクの2色が選べるようになりました。

社務所内のお守り販売所の写真
社務所内で販売されている御朱印帳の写真
随身門の兎の彫り物と阿智の藤がデザインされたオリジナル御朱印帳
社務所内で販売されている花纏守(はなまきまもり)の写真
花纏守(はなまきまもり)。境内の「阿知の藤」のツルのように【太く長いご縁を】という縁結びの祈念が込められています。

また、安産を祈る「安産肌守」と「玉ノ子守」もおすすめ。宮司やスタッフがこだわって作った親子で身に着けられるおそろいのデザインのお守りです。赤ちゃんの肌にもやさしいオーガニックコットンのレースが使われています。

社務所内で販売されている安産肌守・玉ノ子守の写真
安産肌守・玉ノ子守

新井さん

このお守りは阿智神社の神職全員で考案したものです。紙のたまご型パッケージに入れて頒布しています。「お父さんにも持ってもらえるように」とご両親、赤ちゃんおそろいのデザインをご用意しました。手首に巻いて身に着けるほかにもバッグやキーケースに付けたり、スマホケースの裏に挟むのもおすすめです。お守りの中には説明書が同封されていまして、私がお父さんの一人としてメッセージを書きました。

読んで役に立つオリジナルおみくじ「いろはうら」

そのほか、カラフルなおみくじ「いろはうら」は2022年末に頒布開始となった阿智神社オリジナルの授与品です。

新井さん:

「神社参拝をもっと楽しんでもらえるように」という思いで「いろはうた」を題材に考案しました。構想に3年を掛けたおみくじです。全48色の色紙に48種類の運勢のほか、神社や神道の豆知識が書いてあり、読み物としても楽しめます。

社務所内で販売されているおみくじの写真 その1
おみくじは電子決済にも対応
おみくじを引く写真
棒にはひらがなの「ま」
社務所内で販売されているおみくじの写真 その2
ひいたひらがなを社務所で伝えるとおみくじを渡してもらえます。
おみくじの表紙の写真
「ま」は勾玉の「ま」。おみくじには恋愛、学問、健康、金運や勾玉の豆知識などが書いてありました。※何吉だったかは秘密です。

敷地にある古民家を改装したレンタルスペースがオープン

レンタルスペース斎館の外観写真 その1
丸い窓が特徴的な斎館
レンタルスペース斎館の内観写真 その1
レンタルスペース斎館の内観写真 その2

阿智神社の敷地内には「斎館(さいかん)」と呼ばれる建物があります。これは倉敷を拠点としていた商家、楠戸家の別荘として建てられた邸宅で、昭和初期には結婚披露宴の会場として使用されていました。それからしばらくの間は空き家となっていましたが、2020年にワークショップやコワーキングスペースとして利用できる施設として改修されました。イベントのない日は見学することも可能です。

レンタルスペース斎館の内観写真 その3
きれいな庭を眺めながらお仕事もできます。
レンタルスペース斎館の外観写真 その2
レンタルスペース斎館の内観写真 その4
切子ちょうちんのワークショップも開かれています。
レンタルスペース斎館の内観写真 その5

DATA:コワーキングスペース斎館

営業時間 9:00~17:00

定休日 不定休

電話 086-486-4755

URL http://saikan.net/

「伝統=格式」の先入観をなくしながら阿智神社の伝統を生かしたい

インタビューに応える宮司の新井さん

最後に宮司の新井さんから阿智神社をこれから訪れる方へ向けてメッセージをいただきました。

新井さん

阿智神社では守られてきた伝統を生かしつつ「伝統=格式」の先入観を取り除いて親しみをもっていただけたるよう、若い方にも見ていただけるものも作りながら存在感を示していきたいです。今後も様々な取り組みや活動にチャレンジしていきますので、どうぞご期待ください。

●まとめ

伝統を守りつつも新たな取り組みに積極的な阿智神社。参拝や散策にふらりと出かけてみませんか。

境内から眺める美観地区の写真
境内からは眺める美観地区。上から見る美観地区の街並みもよいものです。
美観地区から見上げる阿智神社の写真
美観地区から見上げる阿智神社
阿智神社「阿智の藤」の写真
4、5月は推定樹齢300~500年の「阿智の藤」も見頃です。

令和6年 藤見の会開催

令和6年4月20日と21日の2日間、藤見の会が開催されます。

箔押し御朱印「阿知の藤-春の闇-」の頒布(4月1日からなくなり次第終了)や、お茶席や子供向け工作教室などの催しが開催されます。

詳しくは阿智神社公式HPをご参照ください。

<DATA>

阿智神社

所在地:倉敷市本町12-1

アクセス

<車>山陽自動車道倉敷ICより15分、瀬戸中央自動車道早島ICより15分

<電車>JR山陽本線倉敷駅下車、阿智神社まで徒歩15分

公式サイト:https://achi.or.jp/achi

関連リンク

阿智神社

コワーキングスペース斎館

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