山にたたずむパワースポット「安養寺」。 毘沙門天に会いに行こう!

倉敷市と総社市の境にそびえる霊山福山の麓に、勝負必勝や繁栄を司る神「毘沙門天」への信仰で知られる「朝原山 安養寺」が立っています。毘沙門天とは、四天王の一つである「多聞天」の別名。財宝富貴の力を持ち、仏の教えを守護する善神とされています。

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今回は、七福神巡りや境内を彩る花々の美しさでも人気を集める同寺院を訪問。お祭りされている迫力ある仏像や、散策時の見どころなどを紹介します。

 

成願堂(じょうがんどう)の毘沙門天と諸尊

朱色の映える成願堂の外観

奈良時代後期に開かれた安養寺において、朝原山で千年以上信仰されている31体の毘沙門天の仏像が鎮座されているのが、参道の石段を上ってすぐ西側に見える成願堂です。開門中は9~17時まで参拝することができます。

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平安時代に作られ、国の重要文化財に指定されている「兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)」を筆頭に、鋭い眼光を放つ風格漂う等身大の毘沙門天が三方に祭られており、その光景はまさに圧巻です。

吉祥天女(右) 兜跋毘沙門天(中央) 善膩師童子(左)

住職の小畑徹全(おばたてつぜん)さんは「毘沙門天様には、開運厄除け、商売繁盛、合格成就などのご利益があります。ちなみに兜跋毘沙門天様には家族がおり、奥さんが吉祥天女(きっしょうてんにょ)様、お子さんが善膩師童子(ぜんにしどうじ)様です。この三尊がそろって並んでいる成願堂では、家庭円満のご利益も得られることでしょう」と話します。

  • 踏みつけられる邪鬼たちのユニークな造形

  • 踏みつけられる邪鬼たちのユニークな造形

  • 踏みつけられる邪鬼たちのユニークな造形

なお、成願堂では下記のような仏様も祭られており、そちらの参拝も可能です。

誕生釈迦立像(たんじょうしゃかりつぞう)

誕生釈迦立像

この像は、奈良時代後期から平安時代前期に作られた県内最古の誕生仏といわれており、2024年に岡山県の重要文化財に指定されました。小畑さんによると「こちらのお釈迦様は安養寺裏山の経塚(仏の教えを経瓦に刻み後世に残した場所)に奉納されていました」とのこと。高さ17cmほどの小さな像ではありますが、思わず手を合わせて拝みたくなるような圧倒的な存在感を放っています。

阿弥陀如来立像(あみだにょらいりつぞう)

誕生釈迦立像とともに2024年に岡山県の重要文化財に指定された、高さが約90cmある大型の金銅仏です。奈良時代前期の作とされています。阿弥陀如来は安らかな人生の最期を願う「極楽往生」の仏様です。まるで訪れる人の心を優しく包み込んでくれるかのように、薄く目を開き口元に笑みを浮かべた、穏やかな表情をしています。

実際に境内を散策。いざパワースポットへ!

仏像がたくさんある安養寺ですが、他にもさまざまな魅力があります。編集部が実際に散策した上で、安養寺を訪れる際に知っておきたい境内のパワースポットを紹介します。

七福神

大きな毘沙門天がお迎えしてくれます

山門に続く石段の中ほどにある楼門の上に、巨大な毘沙門天(開運厄除の神)が安置されており、この像を起点に、弁財天(技能上達の神)、布袋尊(人徳和合の神)、恵比寿天(福徳円満の神)、大黒天(福寿無量の神)、福禄寿(知徳円満の神)、寿老人(財徳円満の神)と、全ての七福神を歩いて巡ることができます。小畑さんは「七福神それぞれが得意とするご利益をお持ちなので、全てを回ることでさまざまな幸福と、その場その場に応じた能力を授けてくださいますよ」と言います。

 

毘沙門天(開運厄除の神)
大黒天(福寿無量の神)と恵比寿天(福徳円満の神)
大黒天(福寿無量の神)と恵比寿天(福徳円満の神)
寿老人(財徳円満の神)と福禄寿(知徳円満の神)
寿老人(財徳円満の神)と福禄寿(知徳円満の神)
布袋尊(人徳和合の神)と弁財天(技能上達の神)

羅漢堂

安養寺の裏山に立つ羅漢堂には、釈迦の弟子とされる十六羅漢が祭られています。特に目を引くのが、お堂の正面に吊るされた大念珠。心を落ち着かせて集中しながら108の念珠を引くと、音で邪念が弾かれ幸運が身体に入ってくるそうです。静寂に満ちた山中にカチッカチッと念珠の音が鳴りわたります。

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  • 十六羅漢像。表情やポーズもさまざま

  • 十六羅漢像。表情やポーズもさまざま

  • 十六羅漢像。表情やポーズもさまざま

  • 十六羅漢像。表情やポーズもさまざま

  • 十六羅漢像。表情やポーズもさまざま

多宝塔

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石段を登ってすぐの場所には、経塚から出土した土製宝塔をかたどった色鮮やかな塔が立っています。高さが23mある塔の内部には、龍に乗る優美な上龍観音が祭られており、塔の前で手を合わせることで、自身の運勢も天高く昇っていくそうです。堂内はまるで現代の日本とは別世界にいるような不思議な感覚に引き込まれます。

11月に取り行われる「秋祭」、1月の「初詣」「寅詣祭」の際に、ご開帳されているそうです。

景観

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安養寺にはアジサイやツバキなど、季節の花々が美しく咲くため、どの季節に訪れても心安らぐ景観や紅葉を楽しむことができます。また、倉敷市街が一望できる境内からの眺めの素晴らしさにも心を掴まれます。

下から眺める101段の石段

「参道には、100歳を超えて元気で歩けるようにとの願いが込められた、101段の石段もあります」と住職の小畑さん。ちなみに、石段を上りきった場所では、彫刻家の平櫛田中が96歳で安養寺を訪れた際に読んだ句が石碑になっており、「九十六 石だん百はこたえます」と刻まれた碑に、思わず微笑んでしまいました。

ご朱印

寺務所外観
御朱印

ご朱印は、お寺の開門中(9~17時)に山門を入ってすぐの場所にある寺務所で受け付けてもらえます。気持ちが前向きになる御守りも用意されているので、ぜひチェックを。

御札とお守り
だるまとお守り

住職からのメッセージ

お寺は敷居が高いというイメージを持たれる方が多いのですが、当山は景色を楽しみながら気軽にお参りしていただけます。ぜひお立ち寄りください。

池を見下ろす毘沙門天像

まとめ

安養寺は、迫力ある毘沙門天が祭られている成願堂のほか、七福神巡りや季節を彩る花々、境内からの眺めなど、人々の心を癒す数多くの魅力に富んだ寺です。JR倉敷駅から車で約10分と市街地のすぐ近くにあるにも関わらず、まるで別世界に迷い込んだような気持ちになれる場所です。神々と対峙して自分の心を見つめ直したり、風格漂う所蔵物に見入ったり、花々を眺めながら散策を楽しんだり…。市内屈指のパワースポットで、ぜひ思い思いの過ごし方を満喫してください。

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参考文献

『倉敷福山と安養寺』前川満著 日本文教出版株式会社

『朝原山安養寺』 岡山県立博物館編 

倉敷朝原山 安養寺

ウェブサイトhttps://kurashiki-anyouji.jp/

住所:倉敷市浅原1573 

TEL:086-422-1110

寺務所対応時間:9:00~17:00 

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