瀬戸芸2025直前特集:アートと絶景カフェ巡り!小豆島で癒やしの一日を過ごそう

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瀬戸内海で2番目に大きな島である「小豆島」。オリーブの栽培地や瀬戸内国際芸術祭の開催エリアとしても知られています。

そんな風光明媚な小豆島を、今回はドライブで巡ってきました。実際の様子をレポート形式で紹介します。

※記事内の情報は2025年3月時点のものです。金額は全て税込です。

今回巡る小豆島のスポットとルートはこちら

小豆島は広い島なので効率よく移動するには自動車が一番です。今回は岡山からフェリーを使います。フェリーや高速船に乗って小豆島に渡り現地のレンタカーを利用するのもおすすめですが、瀬戸内国際芸術祭期間中はとくに混み合うので事前予約が確実です。

新岡山港から小豆島へのアクセス

岡山から小豆島に向かう際は、宇野港か新岡山港からフェリーで渡ります。今回は新岡山港で土庄港行きのフェリーに乗り込み、約70分の船旅からスタートします。

車ごと乗船する場合は、車検証を持参して券売機へ。運賃は大人1,200円、車8,250円(全長5m未満の場合/運転手込み/クレジットカード対応)です。

船内には大きな窓があり、のんびり瀬戸内海を眺めながらくつろげます。でも、せっかくならデッキに上がって潮風を感じるのもいいですね。島々を眺めていると、70分の船旅もあっという間です。

醤の郷エリアでアートとカフェを堪能

土庄港から車で約30分。国道436号と県道28号を経由して最初に向かったのは、400年以上の歴史を持つ醤油醸造のまち「醤の郷(ひしおのさと)」。風情漂うエリアで、伝統とアートが交わるスポットです。

坂手港にたたずむアート作品を鑑賞

島の南東側に位置する坂手港では、現代美術作家のヤノベケンジ氏が手掛けた2作品を鑑賞できます。港の風景と溶け合う独特の存在感を味わいましょう。

【駐車場情報】坂手港のジャンボフェリー待合所の横に数台駐車可能。

スター・アンガー  作:ヤノベケンジ 

ヤノベケンジ《スター・アンガー》(瀬戸内国際芸術祭2013作品)
ヤノベケンジ《スター・アンガー》(瀬戸内国際芸術祭2013作品)

球体と龍のモニュメントです。遠目には穏やかな作品に見えますが、近づくとその迫力ある姿に圧倒されます。作品はゆっくりと回転しており、内に秘めた感情が滲み出るかのような存在感です。

小豆島縁起絵巻 作:ヤノベケンジ(絵師 岡村美紀)

ヤノベケンジ(絵師:岡村美紀)《小豆島縁起絵巻》(2013)
ヤノベケンジ(絵師:岡村美紀)《小豆島縁起絵巻》(2013)
ヤノベケンジ(絵師:岡村美紀)《小豆島縁起絵巻》(2013)

坂手港のジャンボフェリー待合所に描かれた、ダイナミックな壁画。ヤノベケンジ氏の構想をもとに、当時学生だった岡村美紀氏が制作を担当しました。緻密に描き込まれたモノクロの世界の中で唯一、虹だけが色彩を放っており、まるで“希望の象徴”のようでした。

醤の郷に忽然と現れるオブジェ

歴史ある民家や醤油蔵が並ぶ、馬木散策路。その途中に突如現れるアート作品があります。

【駐車場情報】

公衆トイレでもある建築作品「大きな曲面のある小屋」向かいの「馬木散策路駐車場」を利用。オリーブのリーゼントまでは徒歩約3分。

オリーブのリーゼント 作:清水久和

清水久和《オリーブのリーゼント》(瀬戸内国際芸術祭2013作品)
清水久和《オリーブのリーゼント》(瀬戸内国際芸術祭2013作品)

オリーブ畑の中にたたずむオブジェ。プロダクトデザイナーの清水久和氏による作品です。顔の中央には小さな展示スペースがあり、この日はうさぎのお雛様が飾られていました。

清水久和《オリーブのリーゼント》(2013)

小豆島現代美術館 MOCA HISHIO

「馬木散策路駐車場」から車で約3分。県道28号沿いを進むと、焼杉板で作られたカフェが見えてきます。

こちらは、館長の石井純さんによる私設ミュージアム。島で初めて建てられた鉄筋コンクリート建築「旧醤油会館」を改修した美術館です。施設には「コヒラカフェ」や、写真家ジョルジュ・ルース氏の制作現場が併設されています。

鑑賞前は「オーナーズコメンタリー(無料)」をレンタルし、作品のエピソードを読みながら巡るのがおすすめです。

展示アーティスト

館内では、石井さんによって収集された200点を超える作品を、季節ごとに入れ替えて展示。片山みやび氏、栩山孝氏、中川浩氏など、数多くのアーティストによる作品があります。美術館の壁に直接描かれた作品もぜひチェックしてみて。

ジョルジュ・ギャラリー

ジョルジュ・ルース氏は、インスタレーション(幾何学的な空間芸術)を手掛けるアーティスト。通常、制作現場は写真撮影後に取り壊されますが、小豆島で制作された3作品と制作現場を同時に残した場所です。 ここ、ジョルジュ・ギャラリーでは、2つの制作現場を鑑賞することができます。

金色箔のインスタレーション

SHODOSHIMA 2018 © Georges Rousse
SHODOSHIMA 2018 © Georges Rousse

正面から見ると、壁や床に貼られた金箔が完璧な円を描くように見える作品。しかし、完璧なポジションはジョルジュ・ルース氏本人しか知りません。当時彼が撮影したのと同じ位置を探して、正しい視点から円を捉えることができるか挑戦してみるのもおもしろいですよ。

チョークのインスタレーション

SHODOSHIMA 2018 © GEORGES ROUSSE

屋根裏部屋で制作された作品。下地に醤油を塗り、その上からチョークで枠取りされています。チョークの白が、醤油の染み込んだ深みのある茶色と対比し、立体感が際立ちます。

ギャラリーの裏手には「小豆島現代美術館 MOCA HISHIO」があります。

コヒラカフェ

かつて農機具置き場だった納屋を改修したギャラリーカフェ。建物の改修時にボランティアで参加したアーティスト、栩山孝氏と片山みやび氏の作品を展示しています。アートを鑑賞しながらデッキのソファでくつろげます。また、ギャラリーエントランスからアプローチを歩いてカフェデッキへ続く空間は、過去と現代の境界が揺らぐような新感覚です。

デッキは、かつて鶏が走り回っていた庭に作られているそう。その歴史をふまえ、正面玄関からデッキ、店内へと続く空間には「世界の転換」が表現されています。まるで過去と現在の境界が揺らぐような感覚になりました。

小豆島のもろみを使用した醤(ひしお)バーガーや、スィーツ、スムージーなどを楽しめます。(すべてテイクアウトが可能)

醤バーガー 700円

もろみで仕上げた旨味がギュッとつまったひと品。

焼フルーツタルト 400円

季節の果物をふんだんに焼き上げた 人気のお菓子。

このほかにも、旬のくだものをたっぷりと使用した、季節のスムージーや醤の郷散策のおともにぴったりな「ピクニックパック(1,000 円)」もおすすめです。

館長 石井 純さんから

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私は芸術の専門家ではないので、作品の背景や物語を伝えることを大切にしたいと思っています。最初は地域の創生に貢献できたらと思い立ち上げたのですが、ジョルジュ・ギャラリーは瀬戸芸の公式作品として認定され、多くの皆さまにお越しいただき、そこから発展して美術館のオープンにつながりました。

また、昨年(2024 年 4 月)はオリーブ公園横に「小豆島現代美術館 MOCA OLIVE」と「コヒラ・スムージー」をオープンしました。 さらに、今年は「もうひとつの芸術祭 2025」という、島民によるイベントを開催いたします。ぜひ、小豆島中にあるアートをご覧いただきたいと思います。

小豆島現代美術館 MOCA HISHIO ANNEX

ジョルジュ・ギャラリーと通りを挟んですぐの場所には、元佃煮工場だったレンガ倉庫があります。ここでは、アートの企画展やパフォーマンスイベントが行われます。

【駐車場情報】

カフェ前に1台、美術館前に1台、美術館専用の駐車場有(10台)。

小豆島現代美術館

住所

(MOCA HISHIO)香川県小豆郡小豆島町馬木36-2

(MOCA HISHIO ANNEX)香川県小豆島町馬木内浜 822-2

(GEORGES gallry + KOHIRA)香川県小豆島町馬木甲 881-9

開館時間:10:00~17:00

休館日:月〜水(瀬戸芸会期中は無休)

料金:美術館 1,800 円、ギャラリー 700 円、アネックス 500 円(セット割引有)

ホームページ:https://www.mocahishio.com/

島の自然とアートに触れる

棚田の風景や体に優しい料理を堪能し、フォトスポットでは“魔法”のようなひとときを体験。五感で楽しむ島時間を満喫しましょう。

中山千枚田で棚田の迫力を体感

農林水産省の「日本の棚田百選」にも選ばれている「中山千枚田」。約800枚もの田んぼからなる棚田が、山の斜面に沿って広がっています。

 

訪れたのは昼下がり。水が張られていない棚田は、光と影のコントラストによって彫刻のように見えました。季節ごとの表情を見せる棚田は、自然と人が生み出したアート作品でもあるかもしれません。

「こまめ食堂」で自然を感じながらひと息

すぐ側に位置する「こまめ食堂」で少し休憩をすることに。「店の玄関をくぐると、ふわっとおかずの香りが漂います。店内は、ランチを楽しむファミリーや外国人グループ、若者たちなど、多くの人でにぎわっていました。

この日は天気が良かったので、ウッドデッキに着席。目の前の大きなアキニレの木にはスズメたちが遊びに来ていました。自然の音や匂いに、五感が研ぎ澄まされていきます。

今回は、散策の“おやつタイム”として、焼き菓子と自家製ジュースをいただきました。

マフィン(ラムレーズンとクランベリー)手搾りジュース(みかん)

卵のやさしい風味が口いっぱいに広がるマフィン。しっとりふわふわの食感がたまりません。マフィンに使われているジャムは全て手作りです。おみやげにもぜひ。

 

平均8個の地元産みかんを贅沢に手搾りしたジュース。果肉をスプーンで混ぜて、濃厚な一杯を味わって。みかんの芳醇な甘みと爽やかな酸味が口の中に広がり、フレッシュな余韻を楽しめます。

代表 立花律子さんから

“いつものおいしいごはん”にこだわりながら、小豆島産の食材を使った料理やデザートを提供しています。食事や風景を通じて、小豆島をもっと好きになっていただけたらうれしいです。

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【駐車場情報】

こまめ食堂の200mほど東側にある「臨時駐車場」を利用。こまめ食堂まで徒歩約5分です。

こまめ食堂

住所:香川県小豆郡小豆島町中山1512-2

営業時間:11:00~15:00(14:00LO)

定休日:火・木曜(不定休あり)

ホームページhttps://www.dreamisland.cc/cafe/komame-cafe.html

 

「道の駅 小豆島オリーブ公園」で“魔法のほうき”の撮影に挑戦! 

国道436号「オリーブ公園口」からすぐ。約2,000本のオリーブが生い茂る「道の駅 小豆島オリーブ公園」は、多彩な施設が集まるオリーブのテーマパークです。

実写版映画「魔女の宅急便」のロケ地でも知られるこちらでは、無料で「魔法のほうき」をレンタルできるサービスがあり、まるで空を飛んでいるかのような写真が撮れると話題に。この魔法のほうきで、ジャンプ撮影に挑戦してみました!

①ほうきをレンタルしよう

小豆島オリーブの歴史を展示しているほか、お土産コーナーやカフェも併設

ほうきは「オリーブ記念館」1階の、入ってすぐ右側に置いてあります。ほうきは黒猫の形をしたフックに掛かっています。

ただし、大人気のため、行列ができることもしばしば。スタッフの髙岡さんによると「オープン直後の8:30頃が狙い目ですよ」とのこと。

②好きな場所で撮影

小豆島と姉妹島のギリシャ・ミロス島との友好の証として建設された風車

オリーブ公園内ならどこでも撮影OKですが、園内で最も景色が映える写真が撮れる「ギリシャ風車」は外せません。

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人気のフォトスポットだけあって、風車の周りはにぎわっていました。子どもから大人まで、みんなが楽しそうにジャンプ、ジャンプ、ジャンプ!撮影するたびに歓声が上がり、笑顔がはじけていました。

③撮影のコツは?

事前のイメトレがコツなのだそう。魔女のキキは背筋を伸ばして飛んでいます。この姿勢を意識して、ジャンプの瞬間に猫背にならないように。膝を曲げすぎると「飛んでいる」というより「跳ねている」感じになってしまうので注意が必要です。

そして、スマートフォンやカメラをひたすら連写!ベストショットが撮れるまで挑戦してみてくださいね。

撮影時の注意点

石の上など、高い位置から飛ぶのは危険なので避けましょう。

園内の施設も訪れてみよう

雑貨コリコ

実写版「魔女の宅急便」のロケセットを活用した雑貨店があります。店内にはハンドメイドアクセサリーやかわいらしい雑貨が並びます。

ハーブガーデン温室

遊歩道沿いにさまざまなハーブが植えられています。すぐそばの温室には、ハーブやオリーブの苗が販売されています。島内ではオリーブの木を多く見かけるため「自分でも育ててみたいな」と思うかも?

道の駅 小豆島オリーブ公園 営業推進部 部長 髙岡 和也さんから

最近は、小豆島を訪れる際のメインの目的地として、当園を選んでいただくことも増えました。インフルエンサーの発信をきっかけに、海外でも知られるようになり、国内外を問わず「魔法のほうき」を楽しんでいただいています。繁忙期にはほうきの本数を増やすなど、より多くの方に楽しんでもらえるよう工夫しています。

オリーブの魅力に触れながら、ここでしか味わえない体験をお楽しみください。

【駐車場情報】

駐車場200台無料。

道の駅 小豆島オリーブ公園

住所:香川県小豆郡小豆島町西村甲1941−1

営業時間:8:30〜17:00

定休日:無休

ホームページhttps://www.olive-pk.jp/index.html

土庄港周辺でアートを楽しむ

フェリーの時間までもう少し小豆島を味わいたい!そこで、旅の締めくくりに土庄港の近くにある2作品を鑑賞することにしました。 

 

太陽の贈り物 作:チェ・ジョンファ

チェ・ジョンファ《太陽の贈り物》(瀬戸内国際芸術祭2013作品)
チェ・ジョンファ《太陽の贈り物》(瀬戸内国際芸術祭2013作品)

土庄港の桟橋に立つ作品です。近づいてよく見ると、メッセージが葉に刻まれていました。メッセージを読みながらじんわりとあたたかい気持ちになります。

対極の美 –無限に続く円- 作:コシノジュンコ

コシノジュンコ《対極の美 –無限に続く円- 》(瀬戸内国際芸術祭2022作品)
コシノジュンコ《対極の美 –無限に続く円- 》(瀬戸内国際芸術祭2022作品)

世界的ファッションデザイナー・コシノジュンコ氏が手掛けた作品。行き交う人やフェリーの往来の流れに作品のイメージが重なり、まるで呼吸をしているように感じました。

迷路のまち~変幻自在の路地空間~ 作:目(協力作家:柳生忠平)

目《迷路のまち~変幻自在の路地空間~》(瀬戸内国際芸術祭2016作品写真)Photo:Yasushi Ichikawa

複雑で細い路地が多く、迷路に例えられることも多い小豆島にちなんだ作品。家屋の外壁を室内に延長させ、建物内部にまるで洞窟のように延ばされた路が制作されています。

【駐車場情報】

「土庄港駐車場」に駐車。1時間無料。

まとめ

18:30発の最終フェリーに乗り込み、新岡山港へ。デッキから眺める瀬戸の夕日や星空は島旅ならではの楽しみです。瀬戸内国際芸術祭期間中は島々を行き交う船も増えるので、すれ違う船を眺めるもの楽しいですよ。

今回ご紹介したスポットでは、小豆島の魅力を深く感じられました。芸術と自然の美しさを体験できるので、家族や友人同士での思い出作りに、ぜひ訪れてみてくださいね。

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土庄港周辺のレンタカー会社

小豆島レンタカー(美島自動車)

連絡先: 0879-64-6506
公式サイト: http://mishima-car.com/rentacar/
土庄港から徒歩2分


ニコニコレンタカー 小豆島土庄町店

連絡先: 0879-61-9825
公式サイト: https://www.2525r.com/
土庄港より徒歩約5分

オリックスレンタカー小豆島店

連絡先:0879-62-4669

公式サイトhttps://car.orix.co.jp/shops/?shops_pk=656

土庄港から徒歩2分

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