ひょんなげ百景 NO.031 通れるの?通れないの!?「JR植松駅 やる気のない改札」
無人駅にある“改札”とは?

岡山市南区にあるJR植松駅。一見すると普通のローカル駅ですが、改札に一歩踏み入れると…「あれ?」と肩の力が抜ける光景が待っています。


植松駅は無人駅。駅員さんの代わりに設置されているのは簡易型の自動改札機です。ところがこの改札、都会の駅のようにゲートがガシャンと閉まるわけでもなく、スルーしようと思えば完全にスルーできてしまう。見た目は“改札っぽいもの”ですが、機能は最低限。通り放題のような開放感すら漂っています。

信用ベースの「ゆるさ」
ICOCAなどICカードにも対応していますが、乗降はほぼ自己申告に近いスタイル。「利用者を信じてますよ」と言わんばかりの潔さです。都会で厳格に管理された改札を見慣れている人にとっては、このゆるさは衝撃的。

SNS上では近くの木見駅の改札が「改札がザルすぎる」と話題になることも。ですが、この“ユルさ”も含めて、地元の人にとっては当たり前の日常風景なのです。植松駅の改札もなかなかですよ。
日本で最初の本格的な自動改札機は1967年に設置。簡易型の自動改札機は主に利用者の少ない無人駅や閑散駅向けに1990年代以降に導入され始めましたが、JR西日本などでは、瀬戸大橋線の開業に合わせる形で1988年ごろから簡易型改札機が設置され始めといいます。つまり、この“ゆるさ”は30年以上の伝統芸なのです。
改札を抜けると、ホームにはのんびりとした時間が流れています。ラッシュアワーも人混みもなく、改札の緩さと相まって、不思議な安心感さえ感じる植松駅。

きっちりした改札を通る都会の駅もいいですが、たまには「どうぞご自由に」という空気に包まれた駅も悪くありません。旅の途中、ゆる~い改札をくぐってホームに立てば、ちょっとした解放感を味わえるはず。
JR植松駅の“ゆるーい改札”。利便性・コスト削減・そしてローカル線らしいユルさが全部合わさって生まれた、不思議で愛すべき「ひょんなげ」スポットでした。
それでは、次なる「ひょんなげ」スポットを求めて、さらなる冒険(?)の旅に出発です!


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