~美観地区観光の拠点~ 「倉敷物語館」と「倉敷館観光案内所」に行ってみた!
全国的にも有名な観光地・倉敷美観地区にある「倉敷物語館」と「倉敷館観光案内所」は、この地を観光する際に役立つさまざまな機能を備えた魅力的な施設です。今回は、それぞれの歴史やおすすめのポイントについて、スタッフの方々に取材しました。
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目次
倉敷館観光案内所
―これまでの歴史
「倉敷館観光案内所」は美観地区の中心に位置しています。洋風木造建築の風格あふれる佇まいが地域の人々に愛されている、この地のランドマークのような存在です。
坪木さん:
当館は1917年に創設された歴史ある建物で、当初は町役場として利用されていました。1928年に市制が施行されたことにより市役所機能が移行してからは、公的質屋や職業安定所、倉庫などとして利用されていたそうです。老朽化が進み、取り壊しが計画された時期もあったそうですが、地域の人々の保存運動が実を結び、改修工事を経て1971年に外観が現在の姿となって生まれ変わりました。昭和後期頃からは観光施設として利用され、1998年には国の登録有形文化財にも登録されました。
倉敷館観光案内所」のおすすめポイント
[ポイント1] 休憩も情報収集も! リニューアルを経てさらに便利に快適に
誰でも無料で自由に出入りができる同館には、トイレやコインロッカー、自動販売機などが設置されています。カウンターに常駐するスタッフは全員英語での対応もでき、観光に関するさまざまな相談に乗ってくれること間違いなし。観光に役立つパンフレットも豊富にそろっているので、散策途中に休憩したり、旅の情報収集をしたりと、さまざまなシーンで活用できます。なお、目の前を流れる倉敷川で運航されている「くらしき川舟流し」のチケットも、当館で販売しています。
坪木さん:
当館は2020年にリニューアルを行ったことで、2階を休憩スペースとして使っていただけるようになりました。2階には、おむつ交換台や流しなどを備えた授乳室も設け、小さなお子様連れの方にもご利用していただきやすくなっています。
また、1階のトイレの数も増加。温水洗浄便座や暖房便座を完備し、多目的トイレ内にはユニバーサルシートやオストメイトも設置しました。
パンフレット類は、入口ドアの真正面にあるカウンターの両サイドに置かれており、観光スポットの情報だけでなく、市内のイベント案内や飲食店のチラシなども並べられています。
コインロッカー(有料)はカウンター横の壁沿いに大小合わせて16個を用意。大きいサイズは一般的なサイズのスーツケースであれば収容可能とのことです。
[ポイント2] 美観地区一帯を見下ろせる、2階からの眺めは必見!
1階にも休憩用のベンチはありますが、ゆっくり休憩したいときには、広々とした空間でゆったりと過ごせる2階がおすすめです。
坪木さん:
2階に行く際は、リニューアル時に新設したエレベーターをご利用ください。窓ガラス越しに美観地区の風景を見下ろせるので、倉敷の風情あふれる街並みを、いつもとは違う角度からお楽しみいただけます。テーブルやいすを備えた、飲食可能なスペースなので、観光の合間にここでお弁当や軽食を食べながらひと休みしていただくこともできますよ。
[ポイント3] 美観地区のちょうど真ん中という分かりやすい立地で、待ち合わせ場所にもピッタリ
同館は、美観地区の中心に位置し、美しくモダンな外観は周囲でもひときわ目を引きます。
坪木さん:
目立つ建物なので倉敷を初めて訪れる観光客にも覚えてもらいやすく、場所も分かりやすいことから、待ち合わせ場所や集合場所としてもよく利用されています。
―利用する方へのメッセージ
当館は、長く美観地区を見守り続けてきた観光案内所です。観光客の皆さまには観光の拠点として、地元の皆さまには憩いの場としてご利用いただいています。ぜひ、情報収集や休憩などの際にお気軽にご利用ください。素敵なご旅行を少しでもお手伝いできればと思いますので、何か気になることがあればいつでも案内所の職員にお尋ねください。心よりお待ちしております。
倉敷館観光案内所
利用可能時間:9:00~18:00(12月29~31日は10:00~16:00)
所在地:倉敷市中央1-4-8
休館日:年中無休
電話:086-422-0542
倉敷物語館
―これまでの歴史
美観地区のまさに玄関口といえる場所に位置する「倉敷物語館」は、江戸時代の風情を感じられる空間で倉敷の歴史や文化を気軽に学べる入場無料の文化観光施設です。館長の羽原さんに詳しいお話を伺いました。
羽原さん:
当館は、江戸時代中期に建築された旧東大橋家住宅を改修する形で、2009年に開館しました。南側には長屋門や堀が、西側には美しい路地があり、江戸時代のこの地の景観に近い状態で保存されているので、美観地区を訪れる方々にとって最初に「倉敷らしさ」を体感していただける場所ともいえます。
ちなみに、東大橋家は、国指定重要文化財として保護されている大橋家住宅を構えた大橋家の一つ。倉敷村(現倉敷市)の年寄役を務めるなど、この地域の発展に貢献したそうです。
「倉敷物語館」のおすすめポイント
[ポイント1]倉敷市が誇る「3つの日本遺産」を、パネル展示で気軽に学べる
倉敷は、後世に受け継いでいきたいさまざまな歴史的「遺産」が存在する町。中でも「地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリー」として文化庁が認定する「日本遺産」には、現在3つのストーリーに関わる41もの文化財が定められています。当館の母屋では、その3つのストーリー「一輪の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~」「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」「『桃太郎伝説』の生まれたまち おかやま~古代吉備の遺産が誘う鬼退治の物語~」について、パネル展示や映像を見ながら、気軽に理解を深めることができます。
羽原さん:
倉敷の3つの文化遺産のストーリーを、これだけ大きくクローズアップして年代順で分かりやすく展示している施設は他にないと思います。なお、海外の方にも理解してもらえるように、英語での解説もご用意しています。スマホをかざしてQRコードを読み取ることで利用できる音声ガイドも、ぜひご利用ください。
[ポイント2]観光途中の休憩にピッタリな和室の貸室も
観光客や地域の方たちの交流の場でもある当館には、有料の貸室も用意されています。多目的ホールや会議室のほか、和室も5部屋も受けられていて、いずれも飲食が可能です。どの部屋も事前に予約ができるほか、当日でも空きがあれば借りることができます。部屋の広さや利用料金、予約状況などの詳細は、倉敷物語館の公式HPから確認可能です。
羽原さん:
和室はゆったりとくつろげるプライベートな空間となっているので、お弁当を広げて食べたり、お子様とのんびり寝転がって休憩したりと、さまざまなシーンで活用してもらえたらうれしいです。
[ポイント3]土蔵展示室には儒家・山田方谷に関する展示あり
江戸時代末期から明治時代の儒家・陽明学者で、備中松山藩士として藩政改革を行い大きな成功を収めた山田方谷(やまだほうこく)は、倉敷に関わりの深い人物です。土蔵展示室では、優れた人材を育てた教育者としても知られる方谷にまつわる展示を常設しています。また、2023年12月現在は通常の展示に加えて期間限定で渋沢栄一に関する資料も観ることができます。方谷の一番弟子であった倉敷市出身の漢学者・三島中洲(みしまちゅうしゅう)が渋沢と親しく、方谷の思想は三島を通じて渋沢に影響を与えたといわれています。
羽原さん:
「近代資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一は、2024年度から発行が予定されている新一万円札の顔として注目されている人物です。2021年の大河ドラマの主人公として記憶されている方も多いのではないでしょうか? 特別展では、渋沢と三島の交流を伝える書簡や手紙などの資料を中心に紹介しています。入場無料なので、ぜひお気軽にお越しください。
―利用する方へのメッセージをお願いします
羽原さん:
当館は美観地区のちょうど入口に立つ施設です。観光客の方々にスタート地点としてご利用いただくことで、観光客の方々にこれから観光する町の歴史を深く知り、美観地区散策がより味わい深いものとなるきっかけになればと思っています。
なお、敷地内には主にオーガニックの食材を使用したメニューを味わえる喫茶室のほか、観光パンフレットや大中サイズのコインロッカー10個(有料)が設置されている長屋門もございます。広々とした中庭にはベンチがあり、多目的トイレも完備しているので、観光途中にひと休みしたい時もお立ち寄りください。また、貸室の和室は当日空きがあれば授乳室として無料で使っていただけるので、ご希望の際は母屋展示室内の受付職員までお声掛けいただければと思います。なお、貸室は観光客の方々や倉敷市民に限らず、どなたでもご利用いただけますので、ぜひさまざまなシーンでご活用ください。
倉敷物語館
営業時間:9~19時(12~3月)、9~21時(4~11月)※いずれも入館は閉館の15分前まで
所在地:倉敷市阿知2-23-18
休館日:年末年始(12月29日~1月3日)
観光時に便利な頼れるスポットとしても、観光客や地域の人の交流施設としても親しまれている「倉敷物語館」と「倉敷館観光案内所」。建物自体の魅力も備えた両施設に立ち寄れば、美観地区で過ごす時間をより快適に、味わい深いものにしてくれることでしょう。ぜひ美観地区を観光する際は足を運んでみてください。両施設ともに「倉敷フリー Wi-Fi」の利用が可能です。観光のスタート時や一休みのときに情報チェックをしてみるのもいいですね。
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