ひょんなげ百景 NO.013 橋を渡る武士「盛綱橋」
橋を渡る武士
「武士が橋を渡っている」「渡ってるっていうか、めり込んでいる」などとよくわからない情報が編集部にもたらされたため、事実を確かめるべくKCTタウン取材班は岡山県倉敷市に架かる「盛綱橋」を訪れました。赤い欄干が特徴的なこの橋、実は源平合戦の古戦場跡にあるんです。
馬に乗った武将がドーン!
倉敷川に架かる赤い橋が遠くに見えてきました。ゆっくりと近づくにつれ、橋の上に何か大きなものが見えてきます。まだ遠くて詳細はわかりませんが、人の形をしているようです。もう少し近づくと、それが馬に乗った人物の像だとわかってきました。あれが武士?
像の姿がはっきりと見えてきます。馬上の武将が、まるで海を渡るかのような勇ましい姿勢で立っています。目の前に佇む銅像は、源平合戦で活躍した佐々木盛綱その人でした。1989年の橋の架け替え時に建立されたこの像、波を切って海を渡る勇姿を表現しているそうです。めり込んでいる様に見えるのは、馬で海を渡っている様子を表現していたからなんですね。
「えっ、馬で海を?」と思われるかもしれません。実はこれには驚きの歴史が...。
藤戸の戦い、その驚きの作戦とは
1184年、この辺りはまだ海でした。源氏と平氏が対峙する中、佐々木盛綱は地元漁師から秘密の浅瀬を聞き出します。そして、馬で海を渡り平氏を奇襲!見事勝利を収めたのです。
ところが、この作戦には悲しい話が...。なんと盛綱は秘密を守るため、案内した漁師を殺してしまったのです。盛綱ー!なんてことを……。
そして「藤戸まんぢゅう」へ
殺された漁師を供養するため、村人たちは近くの藤戸寺で法要を行いました。そこで供えられた饅頭が、なんと「藤戸まんぢゅう」の起源だとか。現在の藤戸まんぢゅうは江戸時代から続く老舗「藤戸饅頭本舗」で販売されています。なんと830年以上の歴史があるそうです。罪滅ぼしの味?それとも勝利の味?気になる方は是非ご賞味あれ。
時は流れて...
かつての海は今や倉敷川となり、盛綱橋がその上に架かっています。1647年に最初の木橋が架けられ、1926年にはトラス橋に。そして1989年、現在の姿に生まれ変わりました。橋の名前の由来?もちろん佐々木盛綱です。当時の県知事が命名したそうですよ。
盛綱橋と盛綱像。一見何の変哲もない橋と像に見えますが、その背後には源平合戦の歴史と、意外な饅頭の誕生秘話が隠されていたのです。次は皆さんも、橋を渡りながら800年前の海を想像してみてはいかがでしょうか。もちろん、藤戸まんぢゅうを片手に。
それでは、次なる「ひょんなげ」スポットを求めて、さらなる冒険(?)の旅に出発です!「ひょんなげ百景」は毎週金曜日に更新です。次回の「ひょんなげ」をお楽しみに。
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