ジーンズミュージアム&ヴィレッジの体験工房で、オリジナルジーンズ作りに挑戦しよう!

「国産ジーンズ発祥の地」として知られる倉敷市児島。

数多くのデニムブランドが拠点を構える児島には、ジーンズの歴史や製作工程を学べる「ベティスミスジーンズミュージアム&ヴィレッジ」があります。今回は、実際にジーンズ作りを体験してきました。あわせて、施設内を見学して分かったジーンズの魅力もご紹介します。

ベティちゃん人形
ベティスミスのキャラクター ベティちゃんがお出迎え
建物の全景
リベット打ち機

国産ジーンズの歴史と魅力を五感で感じる複合施設

ベティスミスジーンズミュージアム&ヴィレッジは、児島で1962年に創業した老舗ジーンズブランド「ベティスミス」が運営するジーンズの複合施設です。ヴィレッジには2棟のミュージアムや体験工場、ショップ、縫製工場、カフェ、ドッグラン、農園など、どんな世代でも楽しめる多彩な施設がそろいます。

縫製工場の窓
ミュージアム壁面に飾られて古いジーンズ

今回は、株式会社ベティスミスの代表取締役社長・大島康弘さんと、スタッフでジーンズソムリエの大槙雅之さんにガイドしていただきました。

「体験工場」で自分だけのジーンズを作ろう

同施設の一番の特徴は、何といっても「自分だけのジーンズ作り」を体験できること。そもそも体験工場ができたきっかけは、「ジーンズを作ってみたい」というお客様からの声があったからだそうです。

 

ベースとなるジーンズの並べられた棚

 

体験は、好みのデザインのジーンズを選んだ後に、ボタンやリベット、ラベルを取り付けて完成させるのが主な流れです。

今回はKCTタウン スタッフのNさんがジーンズ作りに挑戦しました。

ベースとなるジーンズを試着して決めることからスタート

真剣にベースのジーンズを選ぶNさん1
真剣にベースのジーンズを選ぶNさん2
真剣にベースのジーンズを選ぶNさん3

まずはデザイン選びとサイズ合わせを行います。実際に着用した時のイメージも膨らませながら、素材やシルエットを吟味。ジーンズの種類は、体験向けのモデル「OMIYAGEJEANS」(8,800円税込)か、本格モデル「DENIMWORKS」(17,600円税込)の2つから選びます。Nさんはストレート型が好みだったため、今回は「DENIMWORKS」から綿100%のストレート型をチョイスしました。

 

株式会社ベティスミス 大槙さん
株式会社ベティスミス 大槙さん。優しく丁寧にジーンズ作り体験をサポートしてくれました。

ジーンズを選ぶにあたり、スタッフでジーンズソムリエの資格を持つ大槙さんに、上手な選び方を教えていただきました

ジャストサイズのジーンズを試着した様子
生地が伸びることを想定して少しタイトめのサイズをチョイス

大槙さん:

「自分に合う選び方のコツは、ジャストサイズを選ぶこと。履いているうちにのびてウエスト部分がだんだんゆるくなるので、最初はウエストが少しタイトに感じるものの方が良いです。また、少しゆとりのあるシルエットで履きたい場合はワンサイズ大きいものがおすすめです。」

ジーンズのトップボタンとリベットを選ぶ

机に並べられたケースに収められた様々なリベット
真剣にリベットを選ぶNさん1
真剣にリベットを選ぶNさん2

続いて、トップボタン(中央ボタン)とリベット(ポケットの補強鋲)を選びます。机の上に用意されたカラフルなボタンとリベットは、それぞれ24種類。まずはトップボタンをジーンズに置いて合わせ、そこから配色や全体の雰囲気を確認しつつ、リベットも選んで置いていきます。

 

 

Nさんは「カジュアルファッションに合うデニム」をテーマに「ヴィンテージテイストに仕上げたい」と、真剣な眼差しで選んでいました。

ボタンとリベットを「打ち機」で取り付け

いよいよ打ち機を使ってボタンとリベットを取り付けます。打ち機にボタンやリベットをセットし、ペダルを踏み込んで圧力をかけて打ち込んでいきます。

操作する際はスタッフの方が丁寧にサポートしてくれるので安心です。ただ、ペダルを踏み込む時はかなり力が入るので、サンダルよりも踏み込みやすいスニーカーなどの靴を履くのがおすすめです。

打ち機を操作

スタッフの大槙さんのサポートのもと、一つ一つボタンとリベットを取り付けていくNさん。ある程度回数を重ねるうちに「パワーの出し方が分かってきました」と、打ち機を操作するコツをつかんだ様子でした。

最後はラベル選び

バックのネームラベルを選びます。棚には革製・布製のラベルがずらり。ベティスミスのデッドストック(流通在庫品)のラベルも含まれているので気分が上がること間違いなし。こだわりのラベルから自分好みの1枚を選びましょう。

こだわりのオリジナルジーンズが完成!

完成したジーンズ

最後に、スタッフの方にラベルの取り付けと裾直しをしてもらって完成です。カジュアルなコーディネートにぴったりなジーンズ。Nさんも満足そうです。

オリジナルトートバックにいれたジーンズを受け取る

「DENIM WORKS」を選んだ場合、完成したジーンズはベティスミスのオリジナルトートバックに入れて渡してもらえます。

ジーンズ作り体験の所要時間は、個人差もありますが約1時間が目安。必ずHPから事前に予約をしてください。

完成したジーンズ
完成したオリジナルジーンズ。ベティちゃんと

<DATA>体験工房

営業時間:(12月~2月)9:30~17:00

(3月~11月)9:00~18:00 

※平日のみ12:00~13:00昼休憩

料金:体験ジーンズ「OMIYAGE JEANS」8,800円(税込)~、上質な大人のデニム「DENIM WORKS」17,600円(税込)~ ※指導、体験料、ジーンズ本体込み

WEB予約https://airrsv.net/bettyjeanstaiken/calendar

当日予約:086-473-4460 

体験後は、ジーンズミュージアムでジーンズの歴史や文化を知ろう

ジーンズを作った後に、ヴィレッジ内をゆっくりと見学してみました。中でもジーンズミュージアムでは、ジーンズの歴史や生産に関する貴重な展示を見ることができるので必見です!

ジーンズミュージアム 1号館

ジーンズミュージアム 1号館は2003年に開館。アメリカでジーンズが誕生した当時の製品や純国産第一号のジーンズ、生産開始時に使われていたミシンなどといった資料が数多く展示されています。ベティスミス代表取締役社長の大島さんに、国産ジーンズの歴史を伺いました。

ベティスミス代表取締役社長 大島さん
ベティスミス代表取締役社長 大島さん

大島さん:

「国産ジーンズの誕生は、種子島の鉄砲伝来と似ています。原材料はアメリカから輸入し、ジーンズを縫う厚手用の機械がなかったので、当初はミシンの針を太く改造して縫っていました。既存の技術を活かして新しい製品を作っていたんですよ。洗い加工は日本が元祖として始めたもので、それが進化してダメージ加工が生まれました。国産ジーンズは良い意味でガラパゴス化したんですね。」

ユニオンスペシャル社製のミシン
80年以上前のユニオンスペシャル社製のミシンはいまでも稼働する

展示されている80年以上前のミシンは耐久性を高める「巻き縫い」に使用されていたもので、実際に見てみると当時の様子を想起させます。アメリカのユニオンスペシャル社製のミシンで、今もきちんと動くそうです。

<DATA>ジーンズミュージアム 1号館

営業時間:(12月~2月)9:30~17:00

(3月~11月)9:00~18:00

料金:無料

定休日:年末年始

ジーンズミュージアム 2号館

デニム生地の洗いと加工に関する歴史を学べる2号館は、実際の工場がリノベーションされています。当時、加工に使われていた機械や国産ジーンズの歴史に関するさまざまな資料が展示されています。

 

2号館の特徴の一つは、無料でデニム生地の加工体験ができること。型に生地を当て、やすりでこするとその模様が浮き出てきます。体験で使った生地は小物に加工して販売されます。

また、建物の奥には国産ジーンズの歴史を振り返る展示があります。トレンドのデザインや加工の変遷が、当時のポスターなどの広告とともに紹介されています。

大島さん:

「1980年代までは加工の変遷に関する出来事がメインです。ケミカル加工が流行した記憶のある方も多いかもしれません。1990年代からは素材の歴史になります。時代を追って多様化していくジーンズの歴史を見ていただくことで、再発見もあると思います。時代ごとのジーンズ広告の変化も、当時のトレンドが感じられておもしろいですよ」

時代に合わせたファッションの顔出しパネル

館内には企業から寄贈された貴重な品々が展示されているほか、フォトスポットも設けられています。ここでしか撮影できない記念写真で思い出を増やしましょう。

カフェも併設

カフェ店内とドリンク
ジーンズミュージアム内にはカフェが併設されています
倉敷市児島・ジーンズミュージアムに併設「BS Cafe&Gallery」

<DATA>ジーンズミュージアム 2号館

営業時間:9:30~17:00

料金:無料

定休日:年末年始

その他の施設紹介

縫製工場

縫製工場を覗くNさん
縫製工場の看板
縫製工場の暖簾

1962年から稼働している「日本最古」の縫製工場を、外から窓ガラス越しに見学できます。

注目ポイントは、職人の皆さんが「立ちミシン」を使いこなしている点。ペダルが膝の位置にあり、膝で操作するミシンです。生地の受け渡しの動作が立って座るよりも効率的に行える、合理的な設計となっています。

工場内の様子
工場内で働く大勢の人々
工場内で立ってミシンを操作する職人さん

<DATA>縫製工場

稼働時間:9:00~17:00

※入場不可。窓越しに見学可能

定休日:土・日曜、祝日、年末年始

オーダーサロン

オーダーサロン店内
デニムジャケット
オーダー用の各種パーツ
デニム生地見本
ステッチ、ボタン、リベットの見本

フルオーダーの本格的ジーンズを作成可能。ボタン・ラベル・リベットの他にも生地・ステッチ・加工も選ぶことができ、オンリーワンの1本を作ることができます。生地だけで50種類以上もあるので、あらかじめ作りたいジーンズのイメージを完成させておくことがポイントです。

<DATA>オーダーサロン

営業時間:(12月~2月)9:30~17:00

(3月~11月)9:00~18:00 ※12:00~13:00昼休憩

定休日:年末年始

ベティズストア&アウトレット

大きな看板のあるアウトレットショップ外観

ベティスミスの正規製品はもちろん、規格外の製品をお値打ち価格で購入できるショップです。Tシャツやカラーパンツ、小物まで充実しており、国産ならではの丈夫なつくりで長く愛用できるアイテムがそろいます。

アウトレットショップ入り口。ベティちゃんの顔出しパネルがある
アウトレットショップ入り口。ベティちゃんの顔出しパネルもあります
アウトレットショップ店内

<DATA>ストア&アウトレット

営業時間:(12月~2月)9:30~17:00

     (3月~11月)9:00~18:00

      ※12:00~13:00昼休憩

定休日:年末年始

まとめ

最後に、今回の体験や見学の感想をNさんに聞きしました。

施設の入口で笑顔のNさん

KCTタウン スタッフNさん:

「ジーンズは洋服として好きだったんですが、歴史はまったく知りませんでした。ジーンズ発祥の地と呼ばれる場所もたくさんあると思い込んでいたんです。見学することで歴史を深く知ることができて、ジーンズの視点も変わりました。ジーンズ作り体験もとても楽しかったです」

工場内を真剣な眼差しで見学するNさん

国産ジーンズ発祥の地でジーンズの歴史はもちろん、ものづくりの奥深さや情熱に触れられるジーンズミュージアム。しかもオリジナルジーンズをお土産にできるという、記憶にも形にも残る思い出づくりができます。児島へ出掛ける際はぜひ訪れてみてくださいね。

<DATA> ベティスミス ジーンズミュージアム&ヴィレッジ

住所:倉敷市児島下の町5-2-70

TEL:086-473-4460(ベティスミス ジーンズミュージアム&ヴィレッジ)

URL: https://betty.co.jp/

 

※各施設のDATAは変更している可能性があります。詳しくはHPでご確認ください

「ベティスミス ジーンズミュージアム&ヴィレッジ」から車で15分ほどのところに「児島ジーンズストリート」があります。ジーンズを愛する人はぜひ2か所とも訪れてみてはいかがでしょう。

関連記事

児島ジーンズストリートさんぽ ~生みの親と歩く、注目のショップ巡り~

JR瀬戸大橋線・児島駅から徒歩15分。児島味野商店街の一角にある「児島ジーンズストリート」はジーンズ関連業に携わる地元の…

この記事が気に入ったらフォローしてね!

関連記事

日本の空の玄関口 成田空港にBetty Smithのデニムショップがオープン

倉敷市児島に本社と工場を置くBetty Smithの期間限定ショップが、成田国際空港 第2ターミナル本館4階にオープンし…

倉敷美観地区のデニム専門ショップでジーンズを満喫しよう!

「繊維の町」児島を擁する岡山県倉敷市。JR倉敷駅から徒歩15分の倉敷美観地区には、数多くのジーンズショップがあります。今…

グルメも雑貨も本格デニムも 美観地区の「倉敷デニムストリート」を調査

国産ジーンズ発祥の地として知られる児島は、国産ジーンズのショップが並ぶ「児島ジーンズストリート」があり、今や人気の観光ス…

「トライフープ岡山×デニムスーツinBlue」第2弾オフィシャルデニムスーツ公開 一般販売も

デニムスーツ専門ブランド「inBlue(インブルー)」を運営する株式会社ナッシュは株式会社TRYHOOPとオフィシャルサ…

倉敷美観地区に「リラックマ」「すみっコぐらし」のデニムショップがオープン

倉敷美観地区に「リラックマ」「すみっコぐらし」をテーマとしたデニムショップが11月17日(金)にオープンしました。ショッ…

倉敷のデニムコートなど「藤巻百貨店」厳選のアイテムが ふるさと納税返礼品に

通販サイト「藤巻百貨店」とふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」のコラボ企画が9月1日にスタートし、倉敷のデニムメー…

児島のデニム縫製工場「ナイスコーポレーション」が国内20社目のB Corp™️認証を取得

倉敷市児島に本社と縫製工場を置く株式会社ナイスコーポレーションが、国際認証制度「B Corp™️」を取得しました。日本国…