白壁の町が美術館に変わる二日間 ― 倉敷屏風祭【sponsored】

白壁の町並みに屏風がひらかれる特別な二日間──。倉敷美観地区と本町・東町で毎年10月に行われる「倉敷屏風祭」は、町家や商店が格子戸を開け放ち、先祖伝来の屏風や家宝を玄関先に飾って来場者をもてなす、秋の恒例行事です。訪れた人は約30軒をめぐりながら、華やかな飾りと生け花、町家ごとに異なるしつらえを楽しめます。この記事では今年の倉敷屏風祭についていち早くお知らせ。詳しい展示情報など決まり次第順次更新していきます。

阿智神社秋季例大祭とともに

屏風祭は、阿智神社の秋季例大祭と結びついた行事です。2025年は10月18日(土)・19日(日)の開催。

阿智神社

初日(土曜)は10時に祭典が執り行われ、夕方からは三女神の舞、浦安の舞、南京玉すだれ、子供備中神楽、獅子舞、倉敷天領太鼓など、多彩な奉納芸能が披露されます。

二日目(日曜)は朝7時から御神幸行列があり、約150人の時代行列が神輿とともに美観地区を練り歩きます。各所で舞や獅子舞が奉納され、まち全体が祭り一色に染まります。

倉敷の祭りに欠かせない存在が「素隠居」です。翁(おきな)と媼(おうな)の面をかぶった若者たちで、特徴的ならっきょう形の面と渋い団扇を手に、見物客の頭を優しく叩きながら歩き回ります。叩かれると「幸せになる」「健康になる」「賢くなる」といわれ、親子連れが子どもを抱きかかえて叩いてもらう姿も見られます。

その起源は江戸時代中期にさかのぼり、祭りに参加できなくなったご隠居の代わりに若者が面をつけて参加したのが始まりと伝えられています。現在は倉敷の秋を象徴する風物詩として、倉敷素隠居保存会が伝統を守り続けています。

素隠居保存会からメッセージ

「素隠居が持つ団扇で叩かれると、健康になったり賢くなったりするといわれています。そんな素隠居も登場する倉敷屏風祭は、倉敷のまちが華やかに彩られる2日間です。ぜひ倉敷へお越しください」

屏風祭の起源は江戸時代にあります。長く町の人々に親しまれましたが、明治の終わりに一度途絶。しかし平成14年、町の賑わいを取り戻そうと復活しました。平成29年には文化庁の「日本遺産」構成文化財にも認定され、全国的にも注目を集めています。

2025年倉敷屏風祭の新たな見どころ

今年の倉敷屏風祭では、教育機関や地元企業との連携により、伝統と最新技術など新たな試みが融合します。

音声ガイドで楽しむ屏風祭

今年の屏風祭では、スマートフォンを使った音声ガイドが新たに導入されます。倉敷のIT企業・ピープルソフトウェアが提供する「ミューズナビ」を活用し、会場に掲示されたQRコードを読み取るだけで、屏風の解説をスマホから聴くことができます。

手持ちのスマートフォンが音声ガイドに早変わり

ガイド音声を担当するのは、倉敷青陵高校の放送部の生徒たち。若々しい声でのナレーションは、屏風祭に新しい彩りを添えてくれます。現地を歩きながら耳で情報を得られるので、屏風や町並みを眺めつつ、より深く理解できるのも魅力です。

さらに、作品の近くに掲示されている個別QRコードを読み取れば、その屏風ごとの解説をダイレクトに再生可能。散策しながら好きな作品を選んで聞けるので、自分だけの“まち歩き美術館”として楽しめます。

倉敷青陵高校

書道部
美術部

放送部・美術部・書道部が参加。美術部・書道部は創作屏風を制作し、放送部は音声ガイドのナレーションを担当。探究ゼミでは「倉敷グルメマップ」づくりにも挑みます。さらに岡山大学と協力し、創作屏風とAIとロボットを組み合わせた対話型鑑賞システムにもチャレンジ。

放送部は音声ガイドのナレーションを担当
探究ゼミでのグルメマップ打合せ

倉敷青陵高校 生徒たちのメッセージ

「今年度の『倉敷屏風祭』に地域の皆さまと連携し、主体的に関わらせていただけることを楽しみにしています。私たちは、高校生ならではの視点と挑戦でその魅力をさらに広げたいと考えています。美術部・書道部は創作屏風を制作、放送部は作品のナレーションを担当、さらに岡山大学と連携して、生成AIとロボットを組み合わせた対話型鑑賞システムにも挑戦します。探究ゼミでは観光客の皆さまに役立つ『倉敷グルメマップ』を作成するために、会場で直接調査も行います。屏風祭を通じて、私たち自身が地域の文化を学び、未来へつなぐ担い手となれるよう、全力で取り組みます。10月18日・19日、会場で、ぜひ私たちの挑戦をご覧ください!」

岡山大学

AIによる屏風解説(画像はイメージ)

岡山大学によるAIロボットによる屏風解説デモが登場。倉敷青陵高校の生徒たちが制作した屏風を3体のAIロボットが対話しながらリアルタイムで解説するデモンストレーションが実施されます。まさに、伝統と最新技術を融合させる試みです。

岡山大学 中澤篤志教授

「屏風祭では、AIが屏風の魅力をさまざまな視点からご紹介する新しい試みに取り組んでいます。対話できる3台のロボットともに、普段とは少し違った角度から、作品を味わっていただけたら嬉しく思います」

倉敷芸術科学大学

倉敷芸術科学大学では平成30年からオリジナル屏風制作を続け、今年で8年目となります。

昨年の制作風景

倉敷芸術科学大学 原田よもぎ助教

「作品の展示、倉敷屏風祭への参加を通じて地域活性化におけるアートの役割を考察すると共に、伝承者が少なくなりつつある伝統素材や技術を学んでいます。学生自ら制作した屏風をぜひご鑑賞ください」

美観地区のみどころ

倉敷屏風祭の展示会場や、町歩きの途中に立ち寄れる美観地区の見どころをご紹介します。

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鑑賞マナーと楽しみ方

屏風祭は各家のご厚意で開かれています。次の3つのマナーを守って鑑賞しましょう。

  • 展示品に触れない
  • 傘を差さない
  • 玄関先以外に立ち入らない
    穏やかに鑑賞することで、倉敷らしい温かなおもてなしが生まれます。

アクセス

会場となる倉敷美観地区はJR倉敷駅から徒歩15分。白壁の町並みを歩きながら、屏風とともに倉敷の秋を体感できます。

屏風祭は、倉敷のまちがひときわ華やかに彩られる二日間。歴史ある町並みと人々の心意気、そして学生や大学の新たな挑戦が重なり、今年も特別な秋を演出します。ぜひ倉敷へ足を運び、屏風祭の魅力を五感で味わってみてください。

協力:倉敷屏風祭実行委員会

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