春の特別公開 有隣荘が現代アートで彩られる春のひととき

倉敷美観地区に佇む歴史ある邸宅・有隣荘(大原家旧別邸)が、2025年4月18日(金)から5月11日(日)まで、特別公開されています。改修工事のため約1年半ぶりの一般公開となる今回は、昭和初期の和洋中折衷の建物に、現代アートが鮮やかに調和する、まさに“今と昔の対話”を体感できる機会です。

迎賓館としての気品を残しつつ、大胆に現代アートを融合

1928年(昭和3年)に建てられた有隣荘は、かつて大原美術館創設者・大原孫三郎の別邸であり、賓客を迎える迎賓館としても使われていました。昨年春より大規模な改修工事が行われ、雨漏りの修理や雨どいの交換、玄関の天井・部屋の壁・畳なども丁寧に修復。歴史的建造物としての趣を保ちつつ、現代に息づく空間へと整えられました。

今回の展示は、瀬戸内国際芸術祭2025の開幕に合わせて実施され、大原美術館が所蔵する現代アーティストの作品15点が、邸内各所に展示されています。

見どころのひとつは、1階洋室に展示された福田美蘭氏のアクリル画。大原美術館開館以前に飾られていた名画、モネの《睡蓮》にインスピレーションを受け、美術館の中庭を現代の視点で描いた一作です。かつての応接間を思わせる落ち着いた空間に、やわらかに馴染んでいます。

畳を張り替えた1階の和室では、山口晃氏による大型屏風作品が展示されています。屏風には、有隣荘や倉敷駅、倉敷川沿いの景観、そして瀬戸大橋を越えて香川県・金刀比羅宮までを繊細に描いた“鳥観図”が広がり、部屋に立つだけでアートと旅情が交差するような感覚を味わえます。

倉敷川を一望できる2階スペースには、地元ゆかりの現代アート作品が並びます。歴史的建築と現代アートが互いに引き立て合い、新たな価値を創出しているのが印象的です。

期間:2025年4月18日(金)~5月11日(日)
休館日:4月21日(月)
時間:10:00~16:00(最終入場15:30)
入場料:大人 1,000円、学生 500円
 ※大原美術館とのセット券:大人 2,500円、学生 1,000円

春の倉敷を訪れるなら、今が絶好のタイミング。静謐な邸宅に響くアートの気配を感じに、有隣荘へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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