美観地区で陶芸体験!世界に一つだけの備前焼を作ろう
国内外の名画を展示する「大原美術館」をはじめ、個性的なミュージアムやアートスペースが点在する倉敷美観地区。芸術関連の施設は、ふらりと立ち寄るだけでも感性が刺激されます。美術館を巡った後に、自分でも何か作ってみたくなる方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、美観地区に工房を構え、備前焼の陶芸体験を楽しめる「atelier & gallery 土と月」をご紹介。KCTタウン編集部が、実際に作品づくりを体験してきたので、その様子をレポートします。陶芸の初心者でも、果たしてうまくできるのか?ドキドキしながらいざスタートです!
目次
まるで隠れ家のよう!アンティークでおしゃれな備前焼工房「土と月」



「atelier & gallery 土と月」は、複合型施設「クラシキ庭苑」の2階にあります。階段を上がると、秘密基地のような隠れ家的空間が広がります!

窓辺には、備前焼の器に植えられたグリーンが並び、アンティークな雰囲気です。ジャズのBGMが流れ、リラックスした空気に包まれていました。
すでに体験を楽しんでいる女性グループの楽しそうな様子を見て、楽しみな気持ちが盛り上がる反面、きちんと作れるのか少し緊張します…。
そんなことを考えていると、オーナーで陶芸家の香山善弘さん(右写真)が登場。「楽しんでいってくださいね!」と明るく声をかけていただき、ホッとしました。
ろくろを使った「手びねり体験」に挑戦

土と月では、手捻り体験やろくろ体験、絵付け体験などのメニューが用意されています。その中でも、今回挑戦するのは「手びねり体験」。ろくろの上で粘土を成形しながら、好みの器を作ることができます。
①湯呑みの形をつくろう
「手びねり体験」では、すでに球状に丸められた粘土がろくろの上に固定された状態で準備されていました。備前焼に使う粘土はしっとりとしていてきめ細かく、感触が心地よいです。

まずは、この粘土の中心に穴を開け、ろくろを回しながら手をひねるように動かし、徐々に穴を広げながら立ち上げていきます。この手をひねる動きが“手びねり”の語源なのだそうです。
ここでポイントとなるのは力加減。均一の厚さで立ち上げるのは思った以上に難しいです。粘土の壁が薄くなると、穴が空いたり破れたりしてしまいます。気付けば黙々と作業していました。

香山さん:
手びねりは、湯呑みの形を基本にしましょう。ビアジョッキや小鉢など、大きなものを作るほど、粘土を上に引き上げながら開口部を広げる必要があります。
また、作品は焼くと縮むので、それを加味したサイズに調整することも大事です。理想のサイズがある場合は、気軽に相談してくださいね。
②開口部を広げて理想の形に整えよう

今回は小鉢を作りたいので、開口部をしっかり広げなければなりません。中心がずれないように注意が必要です。

指先で開口部を広げていましたが、気付かぬうちに粘土の壁が薄くなり、立ち上げた粘土が重力に負けてじわじわと垂れてきていました。すかさず香山さんの“神フォロー”が炸裂!底をグッと持ち上げて安定させ、形を整えてくれました。このひと手間で見違える仕上がりに。少しずつ形になっていくにつれ、愛着も湧いてきます
③底と縁をなめらかに整える


続いて、濡らしたふきんを底に当て、ろくろを回しながらなめらかに整えていきます。表面がツルッとしてくると、ますます器らしくなってきました。縁にもふきんを当てて優しく整えます。口当たりがなめらかで使いやすい仕上がりになりました。
④サインを入れて完成
仕上げに、竹串を使ってサインを刻みます。名前が入ると、一気に「自分の作品感」が増してきました!手びねりならではの「いびつだけれど温かみのある仕上がり」が良い感じです。粘土の凹凸が程よく立体感を生み、焼き上がったときの表情が楽しみです。

⑤仕上がりを選ぼう
焼き上がりの仕上げも選べます。「ひだすき」にするか、釉薬(+500円)をかけるか選択可能です。なお、「ひだすき」とは備前焼ならではの技法です。作品に藁を巻きつけて焼くことで、表面に赤茶色の模様が入る仕上げになります。

今回は「ひだすき」をチョイス。完成したら、お酒のつまみにぴったりな「ぬた」や里芋の煮物を盛り付けたいな……と妄想が膨らみました。
オーナー・陶芸家 香山 善弘さんにインタビュー
広島県神石高原町を拠点に活動している香山さん。倉敷美観地区にアトリエを構えたきっかけや、訪れる人に届けたい思いについて伺いました。
Q.まずは、アトリエを開くことになったきっかけを教えてください

香山さん:
もともと美観地区を訪れることが多かったのですが、ある時「メインストリートに陶芸の体験施設がないな、ここにあったらおもしろいんじゃないかな」と思ったんです。そのため、物件を探してみたところ、偶然「クラシキ庭苑」の2階に空きを見つけました。そして、そこからほぼ勢いでオープンした感じですね。
陶芸は、少し敷居が高いイメージを持たれがちなので、もっと気軽に楽しめる場所を作りたいと考えました。
Q.「土と月」という工房名が印象的です。どんな思いで命名されましたか?

香山さん:
美観地区を訪れた日に、空を見上げると、月がとても綺麗だったんです。そこでなんとなく“土と月”という言葉が浮かびました。覚えやすいし、「土と月?月と土?どっちだったっけ?」と迷う感じも印象に残りやすいと思って決めました。
Q.陶芸体験で大切にしていることはありますか?

香山さん:
粘土に触れることで無心になれたり、集中する時間を持てたりしますし、作品を作りながら自然に会話が生まれることも多いんです。地元の話をしたり、旅行の思い出を紹介したり…そんな情報共有ができる場としても、アトリエが機能していると感じます。
Q.地元の方もよくいらっしゃいますか?
香山さん:
はい。何度も足を運んでくれるリピーターさんも多いです。備前焼を一度体験すると、ハマりますよ。
Q.訪れる人にはどんな思い出を持ち帰ってほしいですか?

香山さん:
私は、旅行に行くと、その土地での陶芸体験をするようにしています。自分の手で作ると、そのときの気持ちや旅の記憶が強く残るんですよね。
だからこそ「土と月」でも思い出に残る陶芸体験を味わっていただきたいですね。うっかりつけた爪の痕や少しいびつな形も、造形であり味です。完璧なものを作るよりも、自分だけの作品として残ることに価値があると思っています。
Q.最後に、これから訪れる方へメッセージをお願いします

香山さん:
陶芸に興味がある方はもちろん、「初めてだけどやってみたい」という方はぜひお越しください!今回は手びねり体験でしたが、他にもお子様でも簡単にできる絵付けや、カラフルな仕上がりの作品を作れる四季彩備前といった体験も用意しています。
陶芸を気軽に楽しめるものとして、たくさんの人に体験していただけたらうれしいです。

まとめ

実際に体験してみて「失敗を恐れず、自由に作ることが大切」であると感じました。初心者だと失敗を恐れてしまいがちですが、考え過ぎないように作った方が、意外といい作品に仕上がったりするものです。

完成した器を手にした時「あのとき粘土が垂れて焦ったな」「香山さんがフォローしてくれたな」などと記憶がよみがえるところも、陶芸体験の醍醐味なのかもしれません。
倉敷美観地区を訪れたらぜひ「土と月」に立ち寄って、世界に一つだけの備前焼を作ってみませんか?各体験の詳細や予約の空き状況については、同アトリエの公式HPにある体験の予約ページに掲載されているので、チェックしてください。
家族や友人との思い出作りとして、ぜひ挑戦してみては?
atelier & gallery 土と月
住所:倉敷市本町5-27クラシキ庭苑2F
営業時間:9:30〜18:00
定休日:不定休
料金:HPに記載

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