手仕事の玉手箱  美観地区のクラシキクラフトワークビレッジでものづくりの魅力を体感しよう

倉敷美観地区の本町通り。道沿いに続く白壁の町家のなかに「クラシキクラフトワークビレッジ」はあります。呉服店だった築約170年の町家を改装し、さらに3棟の平屋を新築する形で、「手仕事をテーマにした複合施設」として2017年にオープンしました。

工房を併設するショップ5店舗とギャラリースペースからなるこちらの施設では、県産の帆布やデニムを使った製品、茶器、ハンドメードガラス製品なども販売しているほか、実際に制作体験をしたり制作風景を見学したりすることも可能です。

今回はそんな「クラシキクラフトワークビレッジ」へKCT編集部が実際に伺いました。どのような店舗があるのか紹介し、倉敷に息づく伝統文化やものづくりの魅力をお伝えします。

本記事内の価格は全て税込表示です。※2023年12月時点

クラシキクラフトワークビレッジ設立の背景

趣のある通路を抜けると…
きれいに手入れをされた庭があり、入り口からは想像できないほど開放感のある空間が広がっています

「クラシキクラフトワークビレッジ」は「倉敷という地域の魅力、伝統文化、手仕事の魅力を世界へ発信したい」という思いをもつメーカーや作家によって設立されました。同施設ならではの魅力について、同施設の代表で、施設内の「くらし器 手ぬぐい Gocha」「町家空間 VOMN」の店主も務める青山典雅さんにお話を聞きました。

青山さん

倉敷のものづくりは「売り手=作り手」である場合が多く、作り手と使い手の距離が近いところが魅力のひとつではないかと考えています。「作る側」と「使う側」の距離の近さを生かし、ものづくりの現場を実際に体験してもらうことで、その魅力を知り、喜んでいただければと思います。

そんなクラシキクラフトワークビレッジ内にあるショップやギャラリーについて、各店舗の担当者に特徴をお聞きしました。

くらし器 手ぬぐい Gocha

300種類以上の手ぬぐいや和雑貨に出合える

店名は「お互いにお茶を楽しみに会いましょう(互茶)」から命名。オリジナルの手ぬぐいをはじめ、風呂敷、和雑貨、器、日本茶を扱うショップです。手ぬぐいの柄や模様は300種類以上がそろい、岡山の風景や名産品をモチーフにした柄のほか、倉敷川や白壁の町並みといった倉敷の風景をモチーフにした柄、町家建築の格子窓をチェック模様にした「クラシキチェック」など、オリジナルデザインの手ぬぐいも充実しています。

<イチオシ> くらしきさんぽ 1,430円

町並みや人力車、散歩する人などのイラストを、伝統的な注染染めで可愛らしく染め上げた手ぬぐいです。海外からの観光客に人気があるほか、ホームステイ先に渡す日本のおみやげとして購入する留学予定の日本人学生も多いそうです。

以前は手ぬぐいスタンプ体験が行われていましたが、現在はリニューアル準備で休止しています。今後は、防災にも応用できる風呂敷の使い方や茶室体験など、新たな体験活動の実施が予定されています。

ショップからのメッセージ

店主 青山さん

ギャラリースペースの「VOMN」で、手ぬぐいや和雑貨の企画展を年に数回催しています。季節感を表した柄や伝統的な柄、浮世絵をモチーフにした柄など多種多様な手ぬぐいを楽しんでいただけます。

町家空間 VOMN

「温故知新」がテーマのギャラリースペース

「V=Visit(訪れる)」「O=Old town(古い町並み)」「M=Meet(会う)」、「N=New town(新しい街)」から頭文字をとって名付けられたギャラリースペース。改装した施設の2階をギャラリーにし、年に数回「Gocha」で取り扱う手ぬぐいや和雑貨の企画展を催しているほか、「倉敷屏風祭」や「雛めぐり」などの地域行事にも積極的に参加しています。

本格的な茶室を備えています。今はまだ行っていませんが、準備ができ次第茶室を活用した体験メニューもスタート予定です。

ショップからのメッセージ

店主 青山さん

ひな祭りやこいのぼりなどの季節行事をテーマにした手ぬぐいの企画展や、風呂敷・和雑貨の企画展などを開催しています。開催時期は未定ですので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。

CRAFT WORK inc.

「MADE IN KURASHIKI」を感じられる工房&ショップ

1998年設立のブランド「ALAPAAP(アラパープ)」のショップです。店舗には工房が併設され、倉敷帆布や岡山のデニムを使ったバッグ、洋服などを制作販売。シルクスクリーンやハンドペイントといったプリント技術を用いた、アーティスティックな“1点もの”の製品が魅力です。

<イチオシ> キャンバストートバッグ スプラッシュペイント Mサイズ 500sp 1万5,400円 

倉敷帆布を使ったトートバッグで、外側のポケット部分にハンドペイントが施されています。9号帆布を使用したしっかりとした作りながら軽量な仕上がりで、使うほど柔らかくなり、美しい経年変化を楽しめます。ペイントには特殊なインクが使用されており、色移りやにじみはほとんどありません。

カスタムオーダーも可能。Tシャツやジャケット、靴、かばんなどを持ち込み、ハンドペイントでカスタマイズできます。

ショップに隣接する工房
店舗内の工房での縫製作業
型紙を切り出しているところ。繊細な手仕事です

ショップからのメッセージ

スタッフ 奈良林さん

当ショップでは、他の店ではなかなか見られないものをご覧いただけます。最近では海外の方が来店されることも多く、ハンドペイントのTシャツやバッグが人気です。また、お客さまに合わせたセミオーダーも承っていますので、オリジナルアイテムも作ることができます。近くにお越しいただいた際はぜひご覧ください。

ガラス工房aun

自分にぴったりなガラスペンやアクセサリーをじっくり探せる

ガラス作家の江田明裕さんが手掛ける、ガラスのアクセサリーやガラスペンを制作販売する工房兼ショップ。店名の「aun」は「阿吽の呼吸」から。自分の手にぴったり合うものを見つけてほしいという思いで名付けたそうです。江田さんはバーナーワークを習得後、2004年に工房を設立。2017年に「クラシキクラフトワークビレッジ」へ活動拠点を移し、全国各地で個展や出店などを行っています。

<イチオシ> ガラスペン「月」6,600円

背景や光の入り方で、ペンの見た目が黄色になったり青白く変化したりと、まるで月夜を思わせる幻想的な表情を楽しめます。「ガラスペンは表情豊かな上に長持ちしますし、手入れも簡単なんです」と江田さん。

繊細なガラスのペン先を丁寧に研磨します
インクを吸わせて線と書き心地をチェック
何度もチェックをしながら慎重に調整してゆきます

購入時に試筆ができ、スタッフが好みの線の太さに調整してくれるサービスがあります。また、aunのガラスペンに限り、破損してしまった場合は修理してもらえます。

店内にある工房

店舗内の工房でバーナーに向かう青山さん
ガラスの棒が炎の中でペンになってゆきます
中央の線の入った部分がペン先に。1本づつ異なる表情を持つガラスペンになってゆきます

ショップからのメッセージ

店長 江田さん

書くことが好きな方、さまざまな色のインクを試してみたい方はぜひ、ガラスペンの書き心地を体験してみてください。プレゼントとしても大変人気がありますので、お気軽にご相談ください。

Blue Trick

オリジナルの「ジャガードデニム」は世代を問わず楽しめる

「ブルー=インディゴ(藍)」と「多様な技法=トリック」を合わせた店名は、岡山のインディゴを使ったアレンジや変化を楽しんでほしいという思いから命名。デザインから裁断まで自社で手掛けています。デニム生地に「織り」を加えた「ジャガードデニム」の生地を使い、シャツやジャケット、コートなどのアイテムを展開。性別や世代を問わず、トータルコーディネートが可能。経年変化を楽しみながら長く着られるのが魅力です。

<イチオシ> スタンドカラー羽織れるワンピース 花 3万2,780円 M、Lサイズ

ロング丈にこだわったオリジナルデザイン。二重織りで厚みがあり、コートのように羽織って楽しむこともできる2WAYのワンピースです。

予約制で、オリジナルのデニムランチョンマットの加工体験を実施中。型ややすりなどを使って生地を加工し、自分で完成まで仕上げられます。

※体験料2,200円

ショップからのメッセージ

店長 永松さん

Blue Trickでは、トータルコーディネートをご提案できます。ご夫婦やご家族連れで来店されるお客さまも多く、さまざまな世代の方にご愛用いただいています。また、海外のお客さまには刺し子やガーゼ素材のアイテムも好評。デニムのほかにも、コットンなど手触りの良い製品もあります。実際に手に取って商品の触り心地を感じてみてくださいね。

eritto store

老舗帽子メーカー直営のライフスタイルショップ

1960年に創業した、麦わら帽子の製造で知られる帽子メーカー「襟立製帽所」の直営ショップです。コンセプトは「クローゼット・トラベル・ギフト(衣食住)」。生活にまつわるアイテムをブランド「eritto」として展開しています。瀬戸内のさまざまなものをモチーフにしたオリジナルテキスタイルの帽子やウェア、倉敷帆布で作ったエプロン、服飾雑貨や食雑貨などを取りそろえています。

<イチオシ> マロン型ベレー 9,900円

平面的なデニム生地を北欧のデザインをイメージしながら立体的かつ造形的に縫い合わせたシンプルなベレー帽。岡山の名産品をモチーフとしたオリジナルテキスタイル「ママカリ」「桃葡萄」「オリーブ」と呼ばれるジャガードデニムが使われています。

ショップからのメッセージ

代表 襟立さん

生活にまつわるアイテムを幅広く展開しています。一つ一つの製品にはデザイナーや職人、販売に係わる全てのスタッフの思いが込められています。製品を見て、実際に触って、ショップスタッフと会話をしていただくことで、倉敷での思い出に残る場所になればうれしいです。

手仕事を見て、触れて魅力を感じられる「クラシキクラフトワークビレッジ」は、店舗で作り手と直接会話できるのが一番の強みです。実際にお話を聞いたり商品を手に取ってみたりすることで、倉敷のものづくりの魅力を深く感じることができます。倉敷美観地区を訪れたなら、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

クラシキクラフトワークビレッジ

住所: 岡山県倉敷市本町1-30

営業時間:10:00~18:00 

休館日:木曜日

https://kurashiki-mingeikan.com/

※問い合わせは各店舗へ

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