倉敷から世界へ!株式会社ENGIが高校生にアニメ制作の魅力を伝える
株式会社ENGI(エンギ) が、高校生向けにアニメ業界セミナーを倉敷アイビースクエアで開催しました。会場にはアニメ制作に興味を持つ高校生たちが集まり、プロのアニメーターや監督、社長から直接話を聞ける貴重な機会となりました。前半は、アニメ業界のリアルな話、後半は液晶タブレットを使った作画実習と、充実の二部構成。アニメを“観る”から“つくる”へ、参加者の視点が変わる一日となりました。

アニメ業界の今と倉敷スタジオの役割
東京、札幌、そして倉敷にスタジオを持つENGI。倉敷スタジオには十数名のアニメーターが在籍し、日々、アニメーションの制作を行っています。

セミナーではまず、代表取締役社長の吉岡 宏起さんが登壇。アニメ市場は2000年代初頭の約3,000億円から、現在では3兆円超に拡大し、海外需要が国内を上回る現状を紹介しました。ENGIはKADOKAWAグループ傘下として、東京・札幌・倉敷の3拠点で制作を展開。倉敷スタジオは手描きアニメーターの比率が高く、地域発のクリエイティブ拠点として注目されています。
吉岡社長は最後に、「倉敷を有名なアニメ都市にしたい」と力強く宣言。少子化の時代にあっても、地域からアニメ産業を盛り上げ、若い世代の活躍の場を広げていく姿勢を示しました。
ベテランのアニメーション監督によるアニメ制作解説

続いてアニメーション監督 三浦和也さんが、企画から完成までの制作工程を実際の絵コンテや原画を交えて解説。「1話あたり250〜300カット、制作期間は1年半〜2年。今放送している作品は、数年前から準備が始まっているんです」と制作現場のスケール感を伝えました。
アニメーション制作の流れ(例:1クール作品)
企画・構成(全話の流れを決定)
脚本
キャラクターや背景、小物のデザイン
絵コンテ(映像の設計図)
原画(キーフレーム)
動画(原画間を補完)
彩色
撮影(素材を合成し映像化)
編集・アフレコ・効果音/BGM
完成・放送


質疑応答では、客席の高校生から「原作とアニメの絵柄はどう調整するの?」という質問が。これに対し三浦監督は、「監督・プロデューサー・キャラクターデザイナーで話し合い、動かしやすさと原作の魅力のバランスを取ります」と丁寧に回答してくれました。
液タブで挑戦!アニメ作画の基礎
後半は、株式会社ENGI札幌スタジオ所長であり、45年のキャリアを持つアニメーター・漫画家・イラストレーターいがらしなおみさんによる特別レッスン。いがらしさんは20年以上、札幌デザインテクノロジー専門学校や札幌オープン大学で教鞭を執り、多くの卒業生を業界に送り出してきたベテランです。

冒頭のトークでは、かつてはアニメーター志望者は東京に集まるのが当たり前だった時代から、デジタル環境の普及で地方拠点から制作できるようになった変化を紹介。
「生まれ育った場所で作品づくりができるのは、とても素晴らしいこと」と地方スタジオの可能性を語りました。
中割り作業で動きが変わる!

実習では、人気作画ソフト「CLIP STUDIO PAINT」を使用。画面構成やレイヤー、ショートカット操作を学んだあと、教材「猫の屈伸」の絵2枚をもとに、中間の絵を描く中割り作業に挑戦しました。オニオンスキンという機能で前後の絵を透かし見ながら線を引き、キーボードのショートカットでフレームを切り替えて動きを確認。わずか1枚加えるだけで動きが滑らかになる様子に、学生たちからは感嘆の声が上がりました。


さらに、アニメキャラクターの口の動きや眼の瞬きの仕組みも紹介。口の形や目の開閉を数パターン作り、繰り返し配置することで効率的に動きをつけるテクニックを学びました。

いがらしさんは最後に「今日学んだ基礎を使えば、自分のパソコンでもすぐにアニメが作れます。楽しみながら続けてください」と参加者にエールを送りました。

前半の講義で知った業界のスケール感と、後半の実習で体感した“動く絵”の面白さ。
倉敷から羽ばたく未来のクリエイターたちにとって大きな刺激となる一日でした。
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