ひょんなげ百景 NO.023 桃太郎と鬼の最終決戦地…「鯉喰神社」

「ひょんなげ」って知ってますか?岡山弁で「変な」「奇妙な」「不思議な」といった意味の言葉です。「ひょんなげ百景」はKCTタウン編集部が独断でセレクトした岡山の「ひょんなげ」なスポットを連続で紹介していくコーナーです。隔週金曜日更新。

岡山県倉敷市。美観地区でもアウトレットでもなく、もっと西へ、もっと静かな場所へ向かうと、矢部という集落にひっそりと佇む神社があります。

その名も――鯉喰神社(こいくいじんじゃ)。え? 鯉を食べるって……名前からすでにただ者じゃない雰囲気が漂います。ですが、実はここ、吉備津彦命(きびつひこのみこと)と温羅(うら)――つまり桃太郎と鬼――の戦いの終着点とされる地なんです。

鯉喰神社が鎮座するのは、弥生時代の墳丘墓とされる小高い丘の上。文字通り、古墳の上に立つ神社なんです。創建の年代は不詳ながら、伝説の舞台となったその場所に、後の人々が畏敬の念を込めて社を建てたと言われています。ご祭神は吉備津彦命と夜目山主命(やめやまぬしのみこと)。後者は、なんと鬼を料理した料理の神でもあるという設定です。さて、ここからが本題。

鬼――温羅は、吉備の国で暴れまわり、村人たちを苦しめていました。そこに派遣されたのが、朝廷の命を受けた吉備津彦命。長い戦いの末、追い詰められた温羅は、なんと鯉に化けて川へと逃げ出します。

そして――

吉備津彦命は、鵜に変身してそれを追いかけた。なんだこの展開。ワクワクが止まりません。そして、温羅は捕えられ、この地で討たれたと言い伝えられています。この伝説にちなみ、神社では包丁とまな板がご神体であるという異例の噂も残されています。これは、鬼を討った吉備津彦命を、地元の神・夜目山主命が鯉料理でもてなした、という一説によるもの。つまりこの神社――鬼退治のあとの「打ち上げ会場」でもあるのです。

鯉喰神社は、とてもきれいに手入れがされていますが、観光地としての整備がされすぎているわけではありません。駐車場もなければ、派手な看板もありません。けれども――静けさの中に、確かに「何かあった感」が漂っています。桃太郎伝説というと、どうしても「子ども向け」の印象が強くなりますが、ここには鬼と神と人間の記憶を祀る空気があります。ある意味、桃太郎伝説の「終着点」。そして、鬼の最期を見届ける場所。

このあたりって今でも川鵜が多いんですよね

それでは、次なる「ひょんなげ」スポットを求めて、さらなる冒険(?)の旅に出発です!「ひょんなげ百景」はこれまで隔週金曜日に更新です。

ひょんなげ度90

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