ライフパーク倉敷科学センターで星や宇宙を楽しみながら学ぼう
倉敷市福田町古新田にあるライフパーク倉敷内の「倉敷科学センター」は、夏休みに家族で訪れたいスポットのひとつ。大きなドームで楽しめるプラネタリウムや全天周映画、星や宇宙に関する展示を楽しめるほか、さまざまなイベントなども行っています。今回はそんな同施設の多彩な魅力について、学芸員の石井元巳さんに取材しました。
目次
ライフパーク倉敷科学センターとは
1993年に開館した「倉敷科学センター」は、天文・科学に関する展示やさまざまな体験プログラムが楽しめる、科学館施設です。子どもはもちろん、宇宙や星が好きな大人まで、県内外から多くの人が訪れています。倉敷天文台から移築・復元されたスライディングルーフ観測室は2023年度の日本天文遺産に認定されています。
石井さん:
幼稚園・保育園の園外学習、小学校の校外学習・修学旅行などでも、たくさんのお子さんに楽しんでいただいています。
取材当日も元気いっぱいの小学生たちが、プラネタリウムや展示を楽しんでいました。
2大プログラムの「プラネタリウム」&「全天周映画」
星好きならずとも見逃せないのが、大きなドームで鑑賞できるプラネタリウムと全天周映画。今回は実際にドーム内へ入らせていただきました。
プラネタリウム
2019年にリニューアルされたプラネタリウム。ドームの大きさは直径21m・座席数は165席です。中に入ると、開放感のある大きなドーム型のスクリーンに期待が高まります。
石井さん:
鑑賞していただきやすいよう、座席が25度の傾斜式になっています。この様式を取り入れているプラネタリウムは、岡山県では当施設だけなんですよ。
実際に座ってみると、これは確かに見やすい!背もたれをを倒すと、さらにリラックスした姿勢で鑑賞できます。まるで、草むらに寝転がって星空を眺めているような感覚です。
石井さん:
毎回、当日21時の夜空を再現し、当館の天文担当スタッフによる解説を行います。夕暮れ時から、だんだんと暗くなって星が見え始める変化を楽しんでいただけます。
映し出された映像で、鷲羽山から望む瀬戸内海の、美しい夕景に見とれていると、少しずつ暗くなって一番星が輝きだします。そのうちに街の灯りが減ってきて、夜空に星の数が増えていきます。中でも天の川は息をのむ美しさです。
石井さん:
晴れていればその日の夜も同じ星空が見えるはずですので、ぜひ帰ってからも夜空を眺めてみてほしいですね。
当日の星空の様子を鑑賞した後は、天体や宇宙をテーマにした多彩なプログラムが上映されます。アニメのプログラムなどもあるので、子どもから大人まで楽しめそうです。
プラネタリウム 2023年夏休み期間中の上映予定
■「今夜の星空解説」+「ブラックホールを見た日-人類100年の挑戦-」(50分)
休館日以外の毎日上映(16:20~)
■「今夜の星空解説」+「宇宙なんちゃら こてつくん」(50分)
休館日以外の毎日上映(11:40~)
■「今夜の星空解説」+「星の一生をめぐる」(50分)
休館日以外の毎日上映(14:00~)
※詳しい上映スケジュール・上映時間は公式サイトをご参照ください。
全天周映画
全天周映画とは、このプラネタリウムの会場を使って上映される映画です。一般的な映画は前方にある平面のスクリーンを使用しますが、全天周映画はドームスクリーンに映し出されるため、まるで映画の中に入り込んでいくような感覚を楽しめます。
石井さん:
上部や両サイドから、映像と音響が迫ってくるような迫力です。恐竜の映画も予定しています。ぜひご家族でお楽しみください。
「全天周映画」2023年夏休み期間中の上映予定
■「眠れない夜の月」(35分)
休館日以外の毎日上映(12:50~)
■「ダイナソー・サバイバル 恐竜たちの大進化」(35分)
休館日以外の毎日上映(10:30~および15:10~)
※詳しい上映スケジュール・上映時間は公式サイトをご参照ください。
星や宇宙に関する展示が充実!
施設内では、星や宇宙に関するさまざまな展示も行われています。今回は石井さんおすすめの、5つの展示企画をご紹介。
アマチュア天文家・本田實の活躍
本田實さんは、倉敷を拠点に活躍したアマチュア天文家です。1990年に77歳で亡くなるまでの生涯で、12個の彗星と11個の新星を発見するなど、世界の天文学界に誇る輝かしい業績を残しています。展示コーナーでは本田さんの生涯が、子どもにも分かりやすいようイラストを織り交ぜながら紹介されています。また、実際に使用した双眼鏡やポータブル赤道儀などの機材も展示されていますよ。本田實さんは倉敷天文台の主事も務め、現在倉敷天文台にある原澄治・本田實記念館でも当時の資料を閲覧することができます。
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倉敷に落下した隕石「富田隕石」
倉敷に隕石が落ちたことをご存じでしょうか。1916年(大正5年)4月13日、富田村(現在の倉敷市玉島八島)に落下したもので、「富田隕石」と呼ばれています。日本国内で確認されているわずか54個の隕石のうちのひとつですが、展示コーナーではなんとその現物が公開されており、隕石の色や質感などを、その目で確かめることができます。またパネルでは、落ちてきた当時の状況を漫画テイストで解説。発見した人々の驚きがリアルに伝わってきます。
四季の星空の部屋~100万個の星の窓~
照明が落とされた通路に施されているのは、100万個の星が輝く、高さ2mの窓。ガラス面に金属を蒸着させる特殊な技術によって、四季折々の星空や星座が描かれています。また、一般的に難しいといわれる天体写真ですが、この「星の窓」なら、手持ちのデジタルカメラやスマートフォンを使って、まるで本当の星空を撮っているかのように撮影することが可能。フラッシュやライトを使用せず、最も暗い画像を写せる設定にするのがコツだとか。お気に入りの星座を撮影してみて!
宇宙シミュレータ
コンピューターグラフィックスで美しく正確に描かれた星空と星座、太陽系惑星の世界を体験できるシミュレータです。ゲーム機でおなじみのコントローラーを使って自由自在に画面をコントロールできるので、子どもは大喜び間違いなし。日付を設定して表示することもできるので、自分の誕生日や記念日の星空を観測しても楽しいですね。また、惑星や星団をズームアップできるほか、数年間の天文現象の情報を表示することもできます。
太陽系の仲間たち
「すい(水星)・きん(金星)・ち(地球)・か(火星)・もく(木星)・ど(土星)・てん(天王星)・かい(海王星)…」という、誰もが一度は学んだ惑星の覚え方。以前はこれに加えて「冥王星」も太陽から一番遠い惑星とされていましたが、2006年に外されて、惑星の数を8個とすることが定められたのをご存じでしょうか。この展示では、そんな太陽系の惑星のほか、太陽系に属するさまざまな天体の歴史や特徴などを、ダイナミックな写真と合わせて解説しています。
「星空案内人(星のソムリエ)」とはどんな資格? 倉敷科学センターで開催する資格認定講座もチェック
「星空案内人(星のソムリエ)」という資格があるのをご存じでしょうか。知識と経験からワインの楽しみ方を教えてくれるソムリエのように、星空・宇宙の楽しみ方を教えてくれるのが「星空案内人」です。取得すると科学館や天文施設などでボランティア解説員として活躍したり、天文イベントを企画運営したりすることもできることから注目されています。
「倉敷科学センター」で開催されている「くらしき宇宙セミナー」では、複数回ある講座への出席やレポート提出など所定の要件を満たすと、「星空準案内人(準ソムリエ)」の資格が認定されます。
石井さん:
「くらしき宇宙セミナー」は高校生以上から受講可能です。これまで高校生からシニア世代の方まで、男女問わず、幅広い世代の方が参加されています。最近は親子で受講される方も増えていますよ。
同セミナーは毎年4月~6月頃に開催。「星空準案内人(準ソムリエ)」の資格取得を目指す人はもちろん、星や天文が好きな人、将来ボランティアなどで活躍したい人は、ぜひ公式HPで開催情報をチェックしてください。
星や宇宙に関する夏のおすすめイベントは?
「倉敷科学センター」で2023年夏に開催される、星や宇宙に関するイベントをご紹介します。夏休みの自由研究などにもおすすめ!
倉敷科学センター 天体観望会
事前お申し込み:電話086-454-0300
天体観望会は当面の間定員160名の予約制で実施。
(開催日の2週間前より受付開始・定員に達し次第締め切り)
19時集合・自由解散。悪天候時はプラネタリウムで解説のみ実施。
参加無料・小学生以下は保護者の同伴が必要。
・7月22日(土)19時集合・自由解散「夏の天体」※7/8受付開始
・8月5日(土)19時集合・自由解散「たなばたの星」※7/22受付開始
・8月26日(土)19時集合・自由解散「月、夏の天体」※8/12受付開始
科学講演会 アルマ望遠鏡が挑む「見えない宇宙」の謎
倉敷にもゆかりの深い、アルマ望遠鏡の大活躍にて紹介。
・講師:平松正顕さん(国立天文台天文情報センター講師/台長特別補佐)
・日程:8月19日(土)14:00~15:30(開場13:30~)
・対象:小学生以上(小3以下は保護者同伴)
・受講料:無料
・定員:40名 ※先着順で定員になり次第締め切り
・お申し込み:電話086-454-0300
特別天体観望会 中秋の名月を見よう
・会場:倉敷みらい公園(倉敷駅北)
・日程:9月29日(金)19:00~20:15
・対象:一般(小学生以下は保護者同伴)
・申し込み不要・参加無料
※天候が悪く月が見えない場合は中止
※倉敷みらい公園には駐車場がありませんので、周辺の有料駐車場をご利用ください。
まとめ
小さな子どもからシニア世代まで、星や宇宙の魅力をたっぷりと堪能できる倉敷科学センター。星が好きな人はもちろん、あまり詳しくないという人も、プラネタリウムや全天周映画をはじめとする多彩なプログラムを鑑賞・体験することで、新しい世界に踏み出すことができるはずです。この夏、宇宙“沼”にハマってみませんか。
倉敷科学センター
観覧料
区分 | 金額(1人1回につき) | |||||
個人 | 団体(20人以上) | |||||
おとな | 高校生 |
こども (小・中学生) |
おとな | 高校生 |
こども (小・中学生) |
|
科学展示室 | 410円 | 100円 | 100円 | 330円 | 80円 | 80円 |
プラネタリウム | 500円 | 350円 | 250円 | 400円 | 280円 | 200円 |
全天周映画 | 500円 | 350円 | 250円 | 400円 | 280円 | 200円 |
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