吉備路サイクリングで春を探しに！寄り道スポットも紹介

まずは総社市役所観光プロジェクト課主任の福島倫明さんに吉備路自転車道の魅力をお聞きしました。

― 吉備路自転車道ならではの特徴や魅力を教えてください。

吉備路自転車道は総社市の総社駅から備中国分寺にかけて田んぼの中を抜けていくルートになっています。自然を感じながら走れるのが魅力ですね。これから田植えのシーズンに入り、夏には緑がまぶしい青田、秋には金色に染まる稲穂の風景を楽しめます。

周辺には備中国分寺、作（造）山古墳及び吉備津神社などの歴史文化遺産が点在しているほか、吉備路文化館に立ち寄ってアートを楽しむのも良いですよ。

― 福島さんの思うおすすめスポットはありますか？

備中国分寺周辺の景色が好きですね。四季折々の変化が楽しめますし、散策はもちろん景色を眺めながらランチするのも良いと思います。このあたりにはパン屋さんやカフェも多いので、サイクリングの休憩でおいしいものもいただけます。

― 吉備路へ訪れるお客様の増減や年代層はいかがですか？

コロナ禍が少し落ち着いてきたこともあり、にぎわいも少しずつ戻ってきていると感じます。ロードバイクの好きな30〜40代の男性の方をはじめとして、幅広い年代の方がサイクリングを楽しまれているようですね。また、最近は外国の方も増えています。好アクセスな立地や走りやすいルートであることもあいまって、吉備路サイクリングはサイクリスト層だけでなく、これからサイクリングを始めてみたいという方にもマッチしているのではないでしょうか。

― 最後に皆さんへのメッセージをお願いします。

4月以降の吉備路は春の彩りで華やぎます。さまざまな花が咲きますが、特にレンゲが見どころです。ぜひ五感で吉備路サイクリングを満喫してください。

福島さんのお話をもとに実際に吉備路自転車道でサイクリング！今回はJR総社駅前の「荒木レンタサイクル」で「きびチャリ」をレンタルして、吉備路自転車道沿いにある各スポットをめぐりながらJR備前一宮駅を目指す、約20km弱のルートに行ってきました。

「きびチャリ」は日本遺産「『桃太郎伝説』の生まれたまち　おかやま」をPRするための観光レンタサイクルです。「日本遺産」とは地域の文化財や特色、伝統を語るストーリーを国が認定してブランド化することで、地域活性を図るという取り組み。

「桃太郎伝説」は岡山市・倉敷市・総社市・赤磐市で組織された日本遺産推進協議会が文化庁に申請し、2018年に日本遺産として認定されました。

きびチャリは荒木レンタサイクルでお借りしました。きびチャリのほかにも電動アシスト付き自転車や子ども用自転車（小学生以下）などのレンタサイクルがそろいます。

まずは借りる手続きを行います。申込の流れや自転車の乗り方を教えてくれるのは荒木レンタサイクルの荒木英貴さん。荒木さんはツアーガイドの資格も所持していて、今後は個人のサイクリングツアーを開催することも検討中だそうです。

この日は、きびチャリを借りて1日中乗った後に、JR備前一宮駅前のウエドレンタサイクルに返却する「乗り捨て」（1人2,000円）を選択しました。申込みが終わったら乗り方を教わります。ブレーキなど各所の作動チェックやサドルの高さ調整なども行います。

安全を確認したらいよいよ出発！ 荒木さん、ありがとうございました。

きびチャリはシティサイクルとロードバイクの中間の性能を持つ自転車だそうです。実際に走ってみると漕ぎ出しが軽く加速しやすいことに驚きます。思い通りに走れて疲れにくいので、乗るのが楽しくてたまりません。

JR総社駅前からスタートして市役所前を通り、自転車道に入るためのランドマーク「武道館」を目指します。

JR総社駅前からスタートして市役所前を通り、自転車道に入るためのランドマーク「武道館」を目指します。

道のすぐ近くに農業用水路が流れているため、走っていると水のせせらぎが聞こえます。水田に配水するだけでなく大雨の排水や生態系維持など多くの役目をもっています。

五重塔がたたずむ風景は吉備路のシンボル的な風景でもあります。備中国分寺は奈良時代に聖武天皇の発願によって創建された国分寺のひとつ。建物は南北朝時代に焼失したと伝えられており、現在の建物は江戸時代中期以降に再建されました。

県道270号沿い、県道と自転車道をはさんだ真向かいに備中国分寺五重塔を望む「吉備路もてなしの館」があります。2022年にリニューアルしていて、ミシュランシェフ監修メニューが味わえるほか、お土産コーナーにはオリジナル商品やこだわりの岡山土産が並びます。

備中国分寺から少し離れた場所にある、こうもり塚古墳にも立ち寄ります。6世紀後半に作られたといわれ、石室には途中まで入って見学できます。暖かい気候の春でも中はひんやりと涼しいですよ。

桃太郎のモデルとなっている吉備津彦命（きびつひこのみこと）が鵜に変身し、鯉に変身した鬼神温羅（うら）を飲み込んだという伝説の場所に立つ鯉喰神社を通り過ぎるとコースもラストスパートです。吉備津神社と吉備津彦神社の間を抜けてJR備前一宮駅へ。神社ならではの風情ある町並みの中を駆け抜けます。

無事に備前一宮駅に到着。駅前のウエドレンタサイクルに自転車を返却しました。

のんびりサイクリングして丸一日！ 総社駅前を11時に出発し、到着は17時でした。レンタサイクルの返却は18時までなのでご注意を。

普段は車を運転して通り過ぎていただけの景色のなかにもサイクリングをすることで発見がたくさんありました。かわいらしいきびチャリに乗って、ぜひ吉備路を走ってみてくださいね。