【プロに聞く】はじめてのキャンプ(宿泊)とアウトドア料理の楽しみ方
近年ブームとなり、幅広い世代に親しまれているキャンプ。初めて行う方は、どのような用具が必要なのか、どうやって楽しめばいいか知りたいですよね。デイキャンプ編に引き続き、「フォレスタ!早島町ふれあいの森公園」で実際に編集部がキャンプを体験。キャンピング イクイップメント ストア代表の中村さんにキャンプで宿泊する際の流れやポイントについてアドバイスをもらいながら、家族で行うキャンプの楽しみ方や魅力を紹介します。
アドバイザー
キャンピング イクイップメント ストア 代表
中村 剛志(なかむら たかし)さん
アパレルショップでの勤務を経て、アウトドアのトータルサポートサービスを経営。キャンプ用品の販売・レンタルのほか、BBQイベントの企画開催も手掛ける。
目次
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キャンプで宿泊する際に必要な用具をチェック!
宿泊する際は、デイキャンプに比べ、テントや寝具などの道具も用意する必要があるため、準備物が少し多くなります。また、県北をはじめ、寒冷地は夏でも朝晩に冷え込むことがあるので、シュラフ(寝袋)のほかに毛布を持参しておくと、急に寒くなっても安心です。
準備しておくべきキャンプ用品
テント、寝具など
・テント
・テント用ペグ
・ペグ打ちハンマー
・グランドシート(テント下に敷くシート)
・シュラフ(寝袋)
・アルミスポンジシート
・毛布
中村さん:
テントには3シーズン用(春夏秋)と4シーズン用があり、4シーズン用は冬でも暖かく過ごせるよう生地が厚く二重になっています。ただ、初めて購入する際は3シーズン用でも十分です。テントは定員ジャストサイズで作られているので、空間にゆとりをもたせたいならワンサイズ大きなものを用意しましょう。
タープ、ランタンなど
・タープ(スクリーンタープ)
・タープ用ペグ
・テーブル、ベンチ・チェア
・ガスランタン(大小2個あると便利)
・LEDランタン(室内照明用)
・ランタンスタンド
中村さん:
ランタンは大小2個を併用すると、虫よけをしながら明るく快適な夜を過ごすことができます。大きく強い光のランタンを、ランタンスタンドなどを用いて高い位置に設置すれば、サイト全体を照らすことができるほか、虫をおびき寄せる役割も果たしてくれます。
また、室内照明にはLEDランタンを使いましょう。ガスランタンやオイルランタンを室内で使うのは厳禁。火災や一酸化炭素中毒の原因となります。
焚き火セット
・焚き火台
・薪(割ったもの)
・ライターやファイヤースターター
・焚き火台(あると便利)
・焚き火シート(防火シート)
・炭壺(火消し壺)
・軍手
調理器具、食器、食材など
・クーラーボックス
・夕食と朝食の食材
・食器(皿、マグカップ、スプーンなど)
・トング
・調味料各種
・ウエットティッシュやティッシュペーパー
・台所用洗剤とスポンジ
・ゴミ箱とゴミ袋
・アウトドア用カセットコンロ
・ホットサンドメーカー
・ダッチオーブン
・トライポッド(調理用三脚)
・クッカー(コッヘル)
中村さん:
アウトドアコンロは家庭用と比べると火力が強く、周りに風防があるため風で火が消えることはありません。家庭用としても使えるので、1つ持っておくと便利です。
テント、タープの設営
今回泊まる「フォレスタ!早島町ふれあいの森公園」の「湖畔サイト」は、静かな水辺のロケーションを楽しめるほか、季節によってはカワウやカワセミなどの野鳥の姿も見られます。キャンプ場に到着したら、デイキャンプ同様に、まずはテントとタープの設営から始めましょう。
【POINT】テント内にもシートを敷き、心地よい睡眠を
大まかな流れは以下の通りです。
1.テントを立てる場所を選ぶ
サイトに着いたら荷物を運び、テントを立てる場所を決めます。平坦で、雨水や山清水の通り道にならない場所を選びましょう。
2.テントを組み立てる
グランドシートを敷き、その上にテントを設営していきます。今回はドーム型のテントを使いました。軽量で組み立てやすく、子どもたちも手伝いやすい構造です。組み立てたポール(骨組)をクロスさせてグランドシートの上に置き、テントのスリーブ(袖)にポールを通して自立させます。
3.テント内にアルミスポンジシートを敷く
グランドシートだけだと、テント内で横になった際に硬い地面の小石などが背中に当たって痛い場合があります。そのため、テント内にアルミスポンジシートを敷いて快適性をアップさせましょう。地面からの湿気を防ぐこともできます。
4.タープを組み立てる
タープはテントの出入り口に面して立てれば、雨が降っても濡れずに行き来しやすくなります。(より簡易なタープの組み立てはデイキャンプ編を参照)
5.ペグダウンする
テントとタープにペグダウンしていきます(ランタンスタンドにも行います)。強風で飛ばされないよう、ペグダウンは必ず行いましょう。
【POINT】ペグのつまずき防止方法
夜間は足元が暗くなり、ペグにつまずきやすくなるので、特に小さい子どもといっしょにキャンプをする場合は安全対策をした方が良いでしょう。中村さんの場合、ペグのそばに100円ショップで手に入る「発光棒」を立てて目印にしているそうです。
焚き火にチャレンジ!
キャンプで宿泊する際の醍醐味は、何と言っても焚き火。今回はファイヤースターターを使って火起こしに挑戦してみました。
1.タープとの距離を確保
焚き火をする際はまず、タープとの距離が近すぎないか確認します。火の粉がタープに当たると傷んだり破れたりすることがあるため、火の粉が飛んでも届かない程度の距離を確保しましょう。
2焚き火シート(防火シート)を敷く
焚き火シートは安全のためだけでなく、動植物や土壌の微生物を保護する目的もあります。必ず焚き火台の下に敷きましょう。
3.焚き火台に薪をセット
焚き火台を組み立てたら、あらかじめ割っておいた薪を差し込みます。空気が入りやすいよう、薪は中央を開けて配置します。
4.着火用の火種を準備
麻ひもをほぐします。ワセリンを少し塗っておくと火が付きやすくなります。
6.火種を焚き火に移す
火種ができたら薪の中央に入れて、火が大きくなるまで待ちます。
夕食:ダッチオーブンを使った鉄鍋ビビンバ
焚き火の準備ができたら、それを活用して夕食を作りましょう。今回は、ダッチオーブンを使います。ダッチオーブンは、初心者にとってハードルが高いイメージがありますが、実はご飯を簡単においしく炊きあげることができるというメリットがあるのです。今回は、加熱した具材などを混ぜるだけで簡単に作ることができる「ビビンバ」を紹介します。
鉄鍋ビビンバ
【材料】大人2名、子ども1名分
無洗米(2合 、牛カルビ(120g)、市販のナムル(適量)、卵(適量)、仕上げ用のごま油・しょうゆ・焼肉のタレ(適量)、キムチ(お好みで)
1.食材は自宅で下ごしらえ
肉は、事前に自宅で焼肉のタレに漬け込んでおいたものを持って行きましょう。
2.無洗米と水をダッチオーブンに入れる
水加減は、平らに入れた米の上部に、手のひらを下向きにして手を置いた時に、指の甲関節まで浸かるくらいです。
3.強火から弱火にして炊きあげる
強火で約5分熱し、湯気が出てきたらトライポッドの位置を高くすることで弱火に調整し、約15〜20分炊きます。炊けているかどうか、フタを開けて確認してもOKです。
4.ダッチオーブンを火から下ろして蒸らす
炊けたら火から下ろし、しばらく蒸らしておきましょう。
5.肉とナムルを炒める
米を蒸らしている間に、肉とナムルを炒めます。今回はダッチオーブンのフタをフライパン代わりにしました。ナムルは軽く炒めるだけでOKです。
6.具材をご飯に混ぜる
炊けたご飯の上に各具材をのせ、中央に卵を割り落とします。そして、醤油とゴマ油をダッチオーブンの内壁に沿って回しかけます。
7.少し加熱して完成
再び火にかけて「おこげ」を作ります。卵の白身が固まってきたところで火からおろし、具材とご飯を混ぜて完成。キムチもお好みで添えましょう。
キャンプ場での夜の過ごし方
周囲が暗くなってきたら、ガスランタンを灯しましょう。キャンプ場は明かりが少ないからこそ、美しい星空を見られる場所が多いです。焚き火の音や炎のゆらめきも楽しんでください。時間を忘れてゆったりと過ごしましょう。
朝食:ホットサンド
チェックアウトの時間までに片付けをしなければならないので、朝食はさっと済ませましょう。具材はカット野菜やパウチ、缶詰などを使うことで、調理と片付けの時間を短縮。具材や材料は目安なので、お好みの具材で作ってみてください。子どもたちと楽しく調理できるのもポイントです。
ホットサンド
【材料】大人2名、子ども1名分
食パン(6️枚切り4枚)、卵(3個)、ハム(1パック)、レタス(数枚)、ツナ(1パック)、コーン(お好みで)、チューブタイプのバターやマーガリン、マヨネーズ、ケチャップ
1.目玉焼きを作っておく
火にかけたクッカーの上にバターを溶かし、目玉焼きを作ります。
2.パンの下処理
目玉焼きを作っている間にパンの耳を落とします。(耳はついたままでもOK)
3.好きな具材をはさんで焼く
パンにもバターを塗り、好きな具材をのせてマヨネーズやケチャップをトッピング。具材をパンで挟み、ホットサンドメーカーに入れて火にかけましょう。焼き加減を確認しながら焼きあげてください。
【POINT】パーコレーターでコーヒーを入れよう
キャンプで飲むコーヒーは、パーコレーターで入れると格別です。パーコレーターとは、直火にかけることで手軽にコーヒーを抽出できる器具のこと。驚くほどまろやかでおいしいです。これもキャンプの醍醐味といっても過言ではありません。ホットサンドと一緒にぜひお試しください。
撤収、帰りの注意点
夜明けには、夜露でテントやタープが濡れています。撤収前に、テントとタープ、グランドシートをしっかり日光に当てて乾かしておきましょう。
ある程度乾いたらテントなどを片付け、焚き火の灰は所定の場所に捨てましょう。前編でも紹介したとおり、「フォレスタ!早島町ふれあいの森公園」には、フリーサイトの炊事場に炭捨て場、研修棟の手洗い場に炭壺が設置してあります。捨てる場所がない場合は、持参した炭壺に入れて持ち帰りましょう。
まとめ
今回は2本の記事でデイキャンプ、宿泊の楽しみ方を紹介しましたが、楽しみ方は自由です。回数を重ねて経験を積みながら、自分だけのキャンプスタイルを見つけていきましょう。
岡山県には「フォレスタ!早島町ふれあいの森公園」をはじめ、ロケーションの良いキャンプスポットが数多くあります。県内のさまざまなキャンプ場をぜひ訪れてみてくださいね。
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