倉敷市連合医師会による防災活動 ~地域医療の防災力向上を目指して~
倉敷市連合医師会は、災害発生時における迅速かつ的確な医療支援を可能にするため、11月30日(土)に包括的な防災活動を実施しました。
本活動では、過去の災害経験を踏まえた以下のシミュレーションや実地演習を通じて、地域医療機関との連携体制を強化し、課題の洗い出しと改善を図っています。
災害時安否確認アプリの入力演習
演習概要と目的
日時: 11月30日(土)午前7時30分~午前11時30分
災害発生時の医師会員および医療関係者の安否確認と支援可能状況の把握を目的に、災害時安否確認アプリを用いた入力演習を行いました。
このアプリは川大椎野先生が開発し、過去の演習でもその有用性が確認されています。
今年度は、他医療機関や避難所での支援可否を記録するアンケート項目が新設され、支援希望者の事前把握を通じた効率的な対応を目指すとのこと。
演習の流れ
1.QRコードを利用したアクセス:
専用のQRコードを読み取ることで、安否確認アプリにログイン。各項目を入力。
2.送信と確認:
入力後、「送信する」ボタンを押して内容を確認。問題がなければ再度送信。
3.支援可否アンケート:
支援に行けるかどうか、またその範囲や可能性について選択式で回答。
背景と必要性
西日本豪雨災害では、多くの医師会員が「真備地区に支援したいが方法が分からない」との声を寄せました。
また、DMAT(災害派遣医療チーム)の派遣に2日を要したため、その間に地域医療機関やボランティア医師が即席で対応する状況も発生しました。
このような課題を解決するため、災害時の支援体制を平時から構築し、発災時に迅速な支援が可能な仕組みを目指します。
倉敷市立市民病院の支援シミュレーション
演習概要と目的
日時:11月30日(土)午後2時00分~午後4時00分
場所:倉敷市立市民病院
地震と津波による被災を想定した医療支援シミュレーションを実施。
今回は倉敷市児島地区が被災し、倉敷市立市民病院の医療スタッフが不足する状況を再現。
周辺の医療機関からの支援受け入れと病院内での活動準備を中心に進めた。
シナリオ詳細
午前7時30分:地震発生
午前7時40分:倉敷市立市民病院内で災害対策本部を設置
午前8時:院内の状況を把握して報告
午前8時15分:EMIS(広域災害・救急医療情報システム)と倉敷市連合医師会災害時安否確認アプリに被災状況を入力
午前8時30分:軽傷者対応
午前10時頃:津波到達(最大1m程度)
※午後には津波が収まり、周辺医療機関から医師やスタッフが参集。電子カルテや診療体制の確認、支援体制の構築に取り組む。
ロビー参集後の活動内容
支援者の受付と登録:支援者は医師資格証や身分証明書を提示し、電子カルテ用のアカウントを作成。
トリアージ演習:想定患者の症例を用いてトリアージを実施。
電子カルテ入力・処方:限られた情報の中で適切な処方や処置を行う。
院内ツアー:外来救急スペースや免震装置など、災害時の医療拠点となる設備の確認。
災害食試食:アルファ化米を試食し、災害時の食料調達と保存の重要性を共有。
検討会:上記シミュレーション結果を踏まえた課題検討と共有。
まとめ
災害はいつ発生するか分かりませんが、準備を怠らない姿勢こそが被災者の安心と安全を守る礎となります。
倉敷市連合医師会の活動を通じ、地域全体の防災力向上が図られることを期待します。
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