倉敷アブレイズ 感謝の思い胸に刻み、いざ開幕!
守備のリズムに攻撃力をプラス 悪くないね

今季チームを率いる吉田敏明新監督は、静かに微笑みながらも力強く話す。
「やる以上は勝ちを目指しますよ、当然。プロですから」
吉田監督は9月10日付でチームに合流したばかり。前監督の逮捕という逆風の中でも
飄々とした表情でさらりと「まだね、色々と手探りなんですよ」と笑う。

KCTが取材に伺った10月2日は奇しくも監督の71歳の誕生日。
輝かしいキャリアを持つ大ベテラン監督は短期間で勝利へのビジョンを練りながら
選手の適材適所への配置、さらにフレキシブルな戦略を描いていた。
「このチームはやはり高さが足りない。でもね、それを補うだけの身体能力を備えた選手が多いんですよ。元々守備を大事にしてきたチームでしょ。いいところはそのままに、少し攻撃力を加えてね。うん、悪くないよ、このチーム」

新戦力が続々台頭 昨季とは一味違う攻撃パターン
今季の新加入組が力をつけ、既存の戦力と合わせて総合力が高まっている。

1人目はレギュラーリベロが期待される片岡美空選手。ベスビアス新潟からの移籍で今季からチームの一員に。夢だったVリーガーになり、出身地でもある長野県上田市での開幕戦にひときわ闘志を燃やす。
片岡 美空 選手「自分の成長した姿を見せたい」

レギュラーだなんて思っていない。そんな甘い世界じゃないし、常に挑戦者の意識です。
ただ、Vリーガーとして初めて臨む開幕戦は今から楽しみです。早く試合をしたいですね。
私にできることは一番うしろから全体をみて、チーム全員に声をかけること。
相手のトスが上がった瞬間、スパイクコースを読み切りたい。「え?なんでそこにいるの?」と相手に思わせることがリベロの最高の仕事。勇気を出してボールに飛び込んでいきたいですね。
開幕戦には両親やジュニア時代にお世話になった恩師も来てくれます。成長した姿を見て欲しいですね。
2人目は大型セッターの楠岡真緒選手。昨季までチームの司令塔だった大島杏花選手が抜け前ローテの高さ不足が懸念される中、168センチの長身は十分戦力になるのに加え、ツーセッターの戦略も視野に入れつつライトの練習にも余念がない。
吉田監督は「楠岡ハイブリッド構想」と名付けた。今季の新たな攻撃パターンに加わると思われる。
新たな攻撃パターンといえば、3人目の清水愛選手の存在も大きい。
群馬グリーンウイングスからの移籍で、チーム内では唯一のSV経験者。
ポジションはMBだが、これまでのアブレイズのミドルにはなかったブロード※が清水選手の持ち味。
※スパイカーが横に移動しながら素早くスパイクを決める攻撃
清水 愛 選手「試合ができることに感謝」

SVチーム出身とはいっても群馬で活躍していたわけじゃなないし、倉敷のメンバーから学ぶこともたくさんある。チームの勝利につながることで、私から言えるような事はどんどん伝えていきたいです。

ブロードは昨季、あまりやっていないと聞いているし、速いテンポのトスの方が自分に合っているので、チャンスがあればどんどん仕掛けていきたいですね。
とにかく、バレーができることに感謝しながら一戦一戦大切に戦っていきたいです。

4人目はチームのジョーカーになるか?南米コロンビア出身のジェニー マリージョ選手だ。
身長は183センチ。Vリーグの選手の中でも屈指の高さを誇る。

ここぞの場面のピンチブロッカーとしての起用が有力だが、スパイク決定力がついてくればスタメンも十分にあり得る。今季のカギを握る選手である事は間違いない。
持ち前の明るさと真面目さですっかりチームにも馴染み、異国日本での開幕の舞台を迎える。
開幕までにパスの精度とサーブを磨く

「守備のチームを標榜するならパスの精度が高いのは前提。Bパス、Cパスをいかにスパイクにつなげるかも重要だが、それ以上にAパスの確率を上げることが大切。そこは開幕までに徹底して練習していきたい。
当然相手も同じことを考えているわけで、口で言うほど簡単じゃない。そこで重要なのがサーブ。サーブで崩してチャンスをつかんでいきたい。
経験上、中盤までにサービスエースが2回あれば6割以上の確率でセットを取れる。
終盤でのエースはさらに効果的。強いサーブを打つ度胸。ここも磨いていく。
そのうえでのスパイク決定力。やっぱり相手のミスを待つだけだとね、疲れちゃう。
元々守備はいいもの持ってるんだから、そこに少し攻撃力がアップすればね。」
吉田新監督は決して優勝を狙うとは口にしないが、目は確かに頂点を見据えていた。
田部 咲来 選手「エースアタッカーの自覚胸に」

個人としてはスパイク決定率40%を目標にしているが、チームの勝利に貢献することが大事。エースの責任は十分に分かっている。チームが苦しい時に決めてこそエース。今年も全部私に上げろという気持ちでコートに立つ。

「今年は1本で決めることを目指して全力で腕を振っていきたいですね。
狙うは優勝?そうですね…まずはプレーオフかな(笑)最終的にはもちろん優勝したいですね。」
今季は特別なシーズンになる 新スローガンにかけた思い
開幕前からチームは混乱した。コートに立てるのか?そう思った選手もいた。
でも、もう迷わない。ひたむきにボールを追う、最後まで諦めない姿を見せる。
そう決めた。

「挑戦にこそ、私たちの価値がある」今季のスローガンだ。
もう一度、走り出そう!下を向いている選手は一人もいなかった。
今季のアブレイズの活躍から目が離せない。
10月18日(土)VリーグWOMEN 2025-26シーズン開幕。

<チームINFOMATION>

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